オートミールは腸活や痩せホルモン分泌におすすめ◎健康に良い理由はなんといっても食物繊維の豊富さ!

オートミールでピラフを作る

オートミールはダイエットに向いていると話題ですが、その他にも私たちの健康をサポートしてくれる働きがたくさんあります。そこで、オートミールの食物繊維の特徴や生活習慣病予防との関係、腸内での働きについて着目したいと思います。

また、オートミールに含まれる水溶性食物繊維「β―グルカン」、“やせるホルモン”と呼ばれる「GLP-1(ジーエルピーワン)」分泌について、管理栄養士が解説していきます。

執筆者:石原 恵子

資 格:管理栄養士|食品衛生監視員|食品衛生管理者|フードコーディネーター

オートミールの食物繊維の特徴

オートミールには食物繊維が豊富に含まれています。そして、食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります

穀類は「不溶性食物繊維」が多いのですが、オートミールは「水溶性食物繊維」も多く含んでいるという特徴があります。

ここでは、日本人の食物繊維摂取量の推移と、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の特徴、そしてオートミールに多く含まれる水溶性食物繊維の中でも「β―グルカン」について解説していきます。

食物繊維摂取量は目標量を大きく下回っている

この50年間を振り返ってみると、日本人の食物繊維摂取量はどんどん減少しています。

1日当たりの平均摂取量は、1955年には20g以上、1975年・1995年には15g以上でした。しかし、2018年の国民健康・栄養調査によると、1日の食物繊維平均摂取量は男性30-39歳で13.6g、女性30-39歳で12.8gとなっています。

一方、食物繊維の目標量(日本人の食事摂取基準2020年版)では、18-64歳男性では21g以上、18-64歳女性では18g以上と示されていますので、現代の日本人の食物繊維摂取量は目標量を大きく下回っていることがわかります。

この原因としては食の欧米化、中食や外食の増加、米離れや雑穀の摂取量減少が考えられます。

穀類由来の食物繊維摂取量は減っている

昔の日本人の食生活では、食物繊維が不足する心配はありませんでした。なぜなら、家庭で和食中心の食事をし、穀類、豆類、イモ類、野菜、海藻を多く食べていたからです。

ところが、食の欧米化に伴い、タンパク質や動物性脂質の摂取量が増加し、精製された食品が増えるようになってきたことから食物繊維の摂取量が不足するようになってきました。

特に、穀類由来の食物繊維摂取量に着目すると、2010年代では1950年代の摂取量に比べて、約半分になるほどの減少量となっています。

1950年代には食物繊維摂取量全体の約40%を穀類由来の食物繊維が占めていたので、穀類由来の食物繊維摂取が減ったことは、現在の日本人の食物繊維摂取量が不足していることの1つの大きな要因であると考えられます。

1950年代と比べて日本人の食生活は大きく変化し、これに伴ってメタボリックシンドロームや肥満、糖尿病などの生活習慣病も増加している傾向にあります。

穀類由来の食物繊維を増やすためにオートミールを取り入れよう

食物繊維量を増やすためには、食事の主食となる穀類からの食物繊維摂取量を上げることが1つのポイントとなります。1日1食、精白米ご飯を食物繊維豊富なオートミールに変えることで、穀類由来の食物繊維量をアップさせることができます。

食物繊維の充実をテーマにして主食を考えると、オートミールは優秀な食材であると考えられます。

不溶性食物繊維の働きと多く含む食品

食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」があります。不溶性食物繊維は文字通り水には溶けず、水分を吸収して膨らみます。その結果、腸を刺激して腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、排便促進効果があります。

不溶性食物繊維が含まれる部位としては、甲殻類の構成成分(キチン、キトサンなど)や植物の細胞壁の構成成分(リグニン、セルロースなど)です。

食材としては、穀類やイモ類、根菜類や豆類に多く含まれます。不溶性食物繊維を含む食品は噛みごたえがあるので、満腹感があり早食いを防いで食べ過ぎを防ぐことが期待できます。

水溶性食物繊維の働きと多く含む食品

一方の「水溶性食物繊維」は水に溶け、腸管内でヌルヌルした粘性のあるゲルを形成します。

粘度が高く、胃から小腸への食物の移動をゆっくりにし、小腸での栄養素の吸収速度をゆるやかにします。その結果、ブドウ糖の吸収をゆっくりにするので食後の血糖値の上昇をゆるやかにします。

また、コレステロールを吸着し、排出させます。含まれる部位としては、植物の細胞内にある貯蔵物質や分泌物です。

食材としては、果物に含まれるペクチン質、こんにゃくに含まれるグルコマンナン、昆布やわかめなどに含まれるアルギン酸、てんぐさやおごのりから抽出される寒天、大麦やオートミールに含まれるβ―グルカンなどがあります。

食品100g当たりの食物繊維量
精白米 玄米 小麦 コンフレーク オートミール
不溶性食物繊維質 0.5g 2.3g 1.5g 2.1g 6.2g
水溶性食物繊維 Tr(微量) 0.7g 1.2g 0.3g 3.2g
総食物繊維 0.5g 3.0g 2.7g 2.4g 9.4g

引用:日本食品標準成分表2015年版(七訂)より抜粋

オートミールは他の穀類と比較し総食物繊維量が多く、水溶性食物繊維については玄米の約4.5倍含んでいます。

オートミールはβ―グルカンを多く含む

オートミールの水溶性食物繊維の中で1番多く占めるのは、β―グルカンです。
穀類の水溶性食物繊維の内訳を比較すると、小麦はβ―グルカンが11%しか含まれませんが、オートミール(オーツ麦)はβ―グルカンを77%含んでいます。

穀類中の水溶性食物繊維成分
小麦水溶性食物繊維 大麦水溶性食物繊維 オーツ麦水溶性食物繊維
β―グルカン 11% 74% 77%
アラビノキシラン 63% 17% 5%
その他 26% 9% 18%

食物繊維と生活習慣病との関係について

穀類の中でもトップクラスの食物繊維を含むオートミール。食物繊維と生活習慣病には多くの関連が期待できます。食の欧米化や多忙により、食生活が乱れて生活習慣病が増加しています。

また、コロナ禍により、外出も少なくなりテレワークも進み、運動不足や肥満が気になる方も多いですね。そんな現代に生きる私たちの生活習慣病に対し、オートミールを食べることで期待できることを解説していきます。

食物繊維と生活習慣病の研究

食物繊維は、多くの生活習慣病の発症率や死亡率との関連が検討されています。例えば、総死亡率、糖尿病の発症、心筋梗塞の発症及び死亡、胃がん・乳がん発症などに対して負の関連が報告されています。

心筋梗塞に関しては、食物繊維を1日20g摂取していた集団では、ほとんど食物繊維を摂取しなかった集団に比べて発症が15%ほど低かった研究が報告されています。

穀類の健康強調表示について

オートミールの食物繊維(β―グルカン)は、海外の機関において認証されています。ヘルスカナダと米国食品医薬品局(FDA)は、健康強調表示として「冠状動脈心疾患の危険を低減」を許可しています。

ヨーロッパにおいても、欧州食品安全機関(EFSA)が「食後血糖値の上昇抑制」の表示を許可しています。

う蝕(虫歯)、高血糖、脂質異常症(高脂血症)の予防に

  • う蝕(虫歯)に対して

    食物繊維を多く含む食品を食べると咀嚼(そしゃく)回数が増え、口腔内で唾液が多く分泌されます。唾液分泌増加は、う蝕(虫歯)を防ぐ期待ができます。

  • 高血糖に対して

    食物繊維は糖質の消化や吸収をゆっくりにするので、食後血糖値上昇をゆるやかにします。

  • 脂質異常症(高脂血症)に対して

    食物繊維には吸着性があるため、胆汁酸やコレステロールを吸着して便に排泄することで血中のコレステロール値を改善します。この食物繊維の粘性は膵臓の酵素(膵リパーゼ)の活性を低下させるので、脂肪の吸収を抑えます。

    血液中には、中性脂肪やコレステロールなどの脂質があります。中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えたり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減ったりすることを脂質異常症(高脂血症)と呼びます。食物繊維はこれらを改善するため、脂質異常症(高脂血症)の予防が期待できます。

糖質を多く含む嗜好品や肉が好きな人にオートミールはおすすめ

中性脂肪が増えやすい人の食事の特徴は、糖質を多く含む飲料や菓子の摂取量が多いことがあげられます。また、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えやすい人の食事の特徴は、肉の脂身や卵や乳製品などの動物性食品が多いことがあげられます。

これらの摂取を減らしていくと同時に、食物繊維を多く含む食材を積極的に取り入れるとよいでしょう。精白米は100g当たり水溶性食物繊維がほとんど含まれませんが、オートミールは9.4g含まれます。主菜(メインのおかず)が脂っこい肉の食事では、主食にオートミールを使うなどして工夫すると良いでしょう。

オートミールの食物繊維が腸を生き生きさせる

ダイエット時には食事量や脂質摂取量が減るので、便秘になりやすいです。そんなときに食物繊維を多く含むオートミールで便秘改善が期待できます。また、腸内環境という言葉をよく聞きますが、食物繊維は腸内をどのようにして整えていくのでしょうか。ここでは、食物繊維と腸にスポットをあてて解説します。

食物繊維が腸内環境を良くする

近年、腸内環境という言葉をよく耳にします。腸が消化器官という役割の他に、免疫機能と関わりがあることがわかってきたからです。腸をよく働かせるためには、腸内に存在する腸内細菌のバランスをよくすることが重要です。

腸内には大きく分けて3種類の腸内細菌が存在します。良好な働きをする善玉菌、有害な働きをする悪玉菌、どちらにもなりうる日和見菌です。腸が良い状態では、善玉菌が悪玉菌よりも優勢です。しかし、現代人は多忙による欠食・偏食や睡眠不足、運動不足やストレスなどで悪玉菌の方が優勢になりやすく、腸内環境が悪くなりがちです。

これを改善できるのが食物繊維です。食物繊維の一部は分解されて短鎖脂肪酸になります。短鎖脂肪酸は弱酸性のため、悪玉菌にとっては生育しにくいが善玉菌にとっては生育しやすい環境になると言われています。

結果的に、食物繊維摂取によって善玉菌が増えて優勢となり、悪玉菌が減るので腸内環境を良くすることができます。

便秘を改善する

便秘になると肌の調子も悪くなり、せっかくダイエットをして美しくなろうとしているのに、随分疲れた印象を与えてしまいます。ダイエット中に便秘になりやすい理由は、食事量が少なくなることで便のかさが減ってしまうこと。

そして、脂肪は便を滑らかにしてくれますが、ダイエット中は脂質をおさえがちなので脂質量が減ることも原因です。ダイエット中はストレスもたまるので、排便の調子にも影響が出やすいですね。

そこで、食物繊維が役に立ちます。不溶性食物繊維の特徴である保水性で、便の容積が大きくなります。すると腸が刺激を受けて、蠕動(ぜんどう)運動をうながして便が出やすくなります。

また、水溶性食物繊維が腸内細菌によって分解され短鎖脂肪酸が生産され、腸粘膜を刺激する役割も果たします。オートミールは不溶性食物繊維も水溶性食物繊維も豊富に含むため、便秘改善効果が期待できます。

やせるホルモン「GLP-1」を分泌する

やせるホルモンとして「GLP-1(ジーエルピーワン)」が注目されています。あまり聞きなれない言葉ですよね。GLP-1は、満腹中枢を刺激して満腹感を感じさせるので、過食を抑える作用があります。

オートミールのダイエット効果の理由の1つに、このGLP-1分泌を促進することがあげられます。オートミールと食物繊維、そしてこのGLP-1が分泌される仕組みや働きについて解説していきます。

オートミールがGLP-1を分泌に作用する

GLP-1を分泌する細胞は腸内に存在します。この細胞は、糖質による刺激でGLP-1を分泌します。そこで、オートミールに含まれる水溶性食物繊維は、オートミールの糖質を小腸の下部まで運んでこの細胞を刺激することで、GLP-1を分泌させるのです。

また、水溶性食物繊維は腸で腸内細菌のエサとなり、腸内細菌が短鎖脂肪酸を作ります。この短鎖脂肪酸が大腸下部にも存在するGLP-1を分泌する細胞を刺激するため、大腸でもGLP-1が分泌されます。

このようにして分泌された“やせるホルモン”は、脳に働きかけて満腹中枢を働かせるように指令を出します。そのため、満腹感を感じることができるので過食を防ぐことができます。

まとめ

穀類は不溶性食物繊維を含むものが多いですが、オートミールは水溶性食物繊維も豊富に含んでいる点が大きな特徴です。

海外では健康強調表示が許可されているβ―グルカンの割合が高いことも着目できる点です。近年50年間の食物摂取の推移を見てみても穀類の摂取量が減っていることによる食物繊維摂取量の低下が目立つので、穀類に食物繊維が豊富なオートミールを取り入れることには意義があると言えるでしょう。

オートミールの健康効果はダイエットや便秘だけではなく、血糖や脂質代謝、う蝕(虫歯)や腸内環境改善など幅広く期待ができます。また、糖質と水溶性食物繊維を含むオートミールは、“やせるホルモン”と呼ばれるGLP-1の分泌も促進して、満腹中枢を刺激することにより食べ過ぎを防ぎます。これは肥満防止につながりますね。
自分に合うタイミングの食事で、オートミールを活用して長く食べ続けて頂ければと思います。

 
   
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