「骨粗しょう症」による骨折、寝たきりを食事と運動で回避【自宅で予防】

骨密度を高める

60代の女性の3人に1人、70代以上の女性では2人に1人が骨粗鬆症だと言われています。
骨を強くするには、骨を作る材料である「栄養」をしっかり摂ること、骨を強くする「運動」を適度にすることが大切です。食事と運動でしなやかで強い骨を目指しましょう。

執筆者:杉山典子

資 格:管理栄養士


骨粗しょう症の原因、なぜ骨がもろくなる

骨の構造は鉄筋コンクリートの建物にたとえられます。鉄筋の部分に相当するのがコラーゲンで、コンクリートに相当するのがカルシウム、リンなどのミネラルです。

骨粗しょう症はカルシウムが不足(骨密度低下・骨量の低下)したり、コラーゲン繊維が劣化(骨質の低下)したりすることで骨が脆くなり骨折しやすくなる病気です。
骨は常に壊され、新しい骨に置き換わっていきますが、このような骨の調節には、骨を壊す「破骨細胞」と骨を作る「骨芽細胞」が関係しています。

骨の新陳代謝低下

骨は、常に破骨細胞によって古い骨が壊される(骨吸収)一方で骨芽細胞によって新しい骨が作られる(骨形成)ことで、新陳代謝しています。
通常、骨吸収と骨形成は、複数のホルモンやビタミンD、サイトカインと呼ばれる調節因子によってバランスが取れています。しかし、骨粗しょう症では、骨吸収のスピードに骨形成が追いつかなくなり、骨がスカスカになっていきます。

加齢による骨密度の減少

歳をとると、骨をつくるに必要なカルシウム吸収の低下やカルシウムの吸収を助けるビタミンDを体内で作る働きなどが低下してきます。つまり、同じ量のカルシウムを摂取していても、若い時のようには吸収できず、骨粗しょう症が進行しやすくなります。さらに運動量の低下などから、骨密度が低下していきます。

女性ホルモンエストロゲンの減少

骨粗しょう症は特に女性に多く、骨粗しょう症の患者さんの80%以上が女性と言われています。これには女性ホルモンのエストロゲンの減少が大きく関わっています。エストロゲンは、骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。そのため、閉経で女性ホルモンの分泌が低下すると急激に骨密度が低下してきてしまいます。

骨量のピーク

骨量とは身体の中の骨の量です。(この量を正確に測定するのは困難なため、検査として多くの場合は骨密度を測ります。)
骨量は生まれてから増え続け、20歳代で骨量はピークを迎えます。40歳くらいまではおよそ一定ですが、その後加齢とともに減少していきます。

何歳から予防は必要?

小児期から思春期にかけて蓄積された最大骨量が将来の骨量を決める重要な因子になります。成長期に強い骨を作る上で大切なことは、適切な運動を続けることと骨の材料であるタンパク質やカルシウム豊富な食事をとることです。

この時期に無理なダイエットにより栄養不足を起こすと、将来の骨密度に悪影響を及ぼしてしまいます。しかし、それ以降でも運動や食習慣の改善によって予防効果はあります。

大豆イソフラボンが骨粗しょう症の予防に効果的

大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに類似した構造を持っているため、イソフラボンの摂取量が多いほど骨粗鬆症、さらには更年期障害、乳がんに予防効果があると言われています。

骨の減少を食い止める

大豆イソフラボンはエストロゲンに類似した構造を持つため、エストロゲン受容体に結合して弱いエストロゲン作用を示すことができます。骨密度においてはエストロゲン同様に骨吸収を抑制して骨の減少を食い止める働きがあると考えられています。

しかし、大豆イソフラボンの摂取には注意が必要です。大豆製品を食べ過ぎることによる健康被害はありませんが、食品安全委員会によると食品以外の健康食品やサプリメントから摂るイソフラボンの上限は70〜75mgと示しています。ただし、上限を越えたからといって直ちに健康被害が発生するものではないとも付け加えられています。

骨を強くする栄養素

骨を強くするにはタンパク質、カルシウムはもちろんですが、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養素を不足させないことが大切です。

骨の材料になるカルシウム

カルシウムは身体の1.5~2%をしめ、身体に最も多く含まれているミネラルです。体内総カルシウムの99%は骨や歯に存在し、骨の構成物質として重要は栄養素です。残りの1%のカルシウムは血液中に存在し、神経や筋肉の興奮、ホルモンの分泌など非常に重要な役割を担っています。

そのため、血液中のカルシウムが不足すると、不足分を骨のカルシウムで補うため、骨吸収が亢進してしまいます。

骨は生命の維持のためのカルシウム貯蔵庫としても働き、血液中のカルシウムを一定にするのを助けています。カルシウムは吸収しにくいミネラルのため、吸収を助けてくれるビタミンDなど一緒に摂るのがおすすめです。

カルシウムの摂取推奨量(mg/日)
年齢/th>

男性 女性
12〜14歳 1,000 800
15〜17歳 800 650
18〜29歳 800 650
30〜49歳 650 650
50〜69歳 700 650
70歳以上 700 650
1度に食べる目安量 / カルシウム量(mg)
牛乳1カップ 220 丸干しイワシ2尾 220
プロセスチーズ 30g 190 ししゃも3尾 165
ヨーグルト 100g 120 小松菜 80g 136
木綿豆腐 100g 120 モロヘイヤ 60g 156
がんもどき 60g 163 水菜 50g 105
納豆 1パック 50 切り干し大根 10g 54

引用:日本食品標準成分表2020年版

カルシウムの吸収を助けるビタミンD

ビタミンDは、腸管からのカルシウムの吸収を促進させる働きがあります。カルシウムは吸収されにくい栄養素なので、ビタミンDとあわせて摂取することが大事です。

また、骨を作る骨芽細胞の働きを促進して骨の形成を助ける働きがあります。めざしなどの丸ごと食べる魚はカルシウムとビタミンDを一緒に摂ることができるのでおすすめです。

また、ビタミンDは、食べ物にも含まれていますが、紫外線を浴びることで皮膚でも合成されます。一般的には1日15分くらいとされていますが、季節によってその差は大きく、冬場は何時間も当たる必要があります。4月から10月くらいまでは日光浴だけで十分ですが、それ以外の季節は食品からビタミンDを摂取する必要があります。

ビタミンD摂取目安量は成人男女ともに1.5μg/日としていますが、骨のためには15〜20μgくらいのビタミンDが必要と言われています。

1度に食べる目安量 / ビタミンD量(μg)
さんま焼き 1尾 16 塩鮭 1切れ(100g) 25
さば焼き(100g) 11 卵 1個 3
キクラゲ(乾燥) 4g 17.4 干し椎茸 2個 1.4

引用:日本食品標準成分表2020年版

骨形成を促進させるビタミンK

ビタミンKは、骨形成に関与するオステオカルシンというタンパク質の活性化を助ける働きがあります。オステオカルシンは骨形成過程で骨の土台となるコラーゲン組織にリン酸カルシウムの結合を促す働きがあります。コラーゲンの土台に骨塩が沈着することで強くてしなやかな骨になります。

欧米における研究結果ですが、ビタミンK1の摂取量が多いほど、大腿骨の骨折率が低いことが報告されています。一方、ビタミンK1の不足では不活性のオステオカルシンが増加し、大腿骨骨折リスクが高まることが報告されています。

ビタミンKの食事摂取基準による目安量は150μgで男女ともに目安量はクリアしています。しかし、これは血液凝固を対象に策定されたものであり、オステオカルシンの活性化に必要なビタミンK量は500μg/日と考えられています。

1度に食べる目安量 / ビタミンK量(μg)
納豆1パック 50g 300 モロヘイヤ 50g 320
ひきわり納豆 50g 460

引用:日本食品標準成分表2020年版

避けた方が良い食品

インスタント食品や加工食品に多く含まれるリンはカルシウムを体外に排泄する働きがあるため、摂りすぎると骨が弱くなる原因になります。リンはソーセージやベーコンなどの加工肉、練り物などに多く含まれる他、インスタント食品やファーストフードにも多いので注意が必要です。

また、甘いものや飲み物など糖質のとり過ぎもカルシウムが尿から排泄されやすくなります。
その上、糖質は骨のコラーゲンを劣化させ、骨質を劣化させてしまいます。糖質のとり過ぎは体の「糖化」が進み、骨粗しょう症を招くことがわかってきました。

「糖化」とは、体の中の過剰な糖質がタンパク質を結びついて AGEs(最終糖化産物)という物質を作り出す反応です。
骨で糖化が起こると白い骨を褐色に変色させてしまい、とても脆いコラーゲンに変わり骨が弱くなってしまいます。甘いものや甘い飲み物の摂り過ぎにも注意が必要です。

骨粗しょう症予防におすすめの食材を使った日替わりスープ5選

きのこと鮭の豆乳味噌スープ

鮭はビタミンD、豆乳にはカルシウム、これらを一緒に摂ることでカルシウムの吸収率がアップします。また、豆乳にはイソフラボンが含まれています。

鯖の味噌煮缶と大根の豆乳スープ

鯖の缶詰は骨も丸ごと食べることができるため、カルシウムの補給にピッタリ。その上、ビタミンDも多く含まれています。缶詰を使うので味も決めやすいですよ。

納豆汁

納豆にはビタミンKが多く含まれています。ご飯のお供がメジャーですが汁ものにすることで食欲がない時でも不思議とするする食べられます。

あさりとトマトのクミンスープ

骨質に影響するコラーゲンの合成にはタンパク質と鉄分が必要不可欠。
あさりには、鉄分が多く含まれ、またトマトに含まれる酸が鉄の吸収を助けてくれます。貧血改善にもおすすめです。

人参と生姜のポカポカ豆乳スープ

生姜は抗糖化作用があり、骨コラーゲンの劣化に繋がるAGEsを抑制する効果があると言われています。人参のβカロテンには抗酸化作用もあり、骨や身体の老化予防にぴったりのスープです。

骨粗しょう症予防には運動が大事!骨に刺激が加わる運動を5選

近年の研究で、骨に衝撃を加えることで骨芽細胞が活性化され、骨密度が上昇するということが分かってきました。

骨への刺激を加える骨たたき

座ったままでもでき、1日1分でできるお手軽なエクササイズです。

筋肉と骨を鍛えるエクササイズ

骨だけでなく筋肉を鍛えることで転倒した時にも怪我しにくくなり、骨折のリスクも低下します。姿勢や猫背の改善にもなるので20代30代の方にもおすすめなエクササイズです。

かかと落とし

家事の途中でも気軽に行えるかかと落としですが、かかと落としは立った姿勢で、床にトンとかかとを打ちつけます。このように一気に衝撃を与えると、その衝撃により、骨代謝が促され、骨密度がアップすると言われています。

自宅でできる足踏み運動

足踏みによる骨への刺激と筋肉を動かすエクササイズです。足踏みの大きさによって骨への刺激を変えることができます。

1分間の骨粗しょう症予防改善体操

女性に多い4大骨折の腰椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、上腕骨外科頚骨折、橈骨遠位端骨折、全ての箇所に効くような運動になっています。

まとめ

骨が弱くなる要因で予防・改善できないものは加齢、女性、早期閉経、病気によるもの、などあります。予防・改善できる要因としては痩せすぎ、不規則な食生活、栄養不足、運動不足、喫煙、アルコール多飲、日光に当たらないなどです。
食事や運動や生活習慣の改善で十分骨粗しょう症の予防・改善ができます。出来そうなものから取り入れてみてはいかがでしょうか?

 
   
この記事をシェア