味噌汁で大豆イソフラボンを摂れる?味噌の種類によって量に違いはあるのか?

味噌汁について

「味噌汁って、大豆イソフラボンはどれぐらい摂れるのかな?」「味噌汁は1日に何杯飲むといいのかしら?」「味噌の種類によって、大豆イソフラボンの量は違うのかな?」

大豆が原料である味噌。発酵食であり、女性の味方であるイソフラボンも含む食材ですね。この記事では、味噌汁1杯の大豆イソフラボンや塩分の量、味噌の種類による特徴などを管理栄養士が解説していきます。

執筆者:石原 恵子

資 格:管理栄養士|食品衛生監視員|食品衛生管理者|フードコーディネーター

味噌とは ~製法から“さしすせそ”まで~

大豆と味噌

冬になると家庭で味噌を仕込む人もいるぐらい、今ではとても身近な調味料・味噌。しかし、平安時代には貴族だけが食べており、庶民には広まったのは室町時代だそうです。

そして、調味料と言えば「さしすせそ」という言葉があり、味噌は「そ」にあたります。つまり、「味噌は最後に」とされていますが、これにはどんな理由があるのでしょうか?
ここでは、味噌の製法や「さしすせそ」について解説していきます。

味噌ができるまで

味噌は「麹」「大豆」「塩」を混ぜて作られています。

米味噌と麦味噌

工程は同じです。使用する「麹」の原料が、米か麦かの違いがあるだけです。蒸し煮にしてつぶした大豆に、米麹(麦麹)、塩、種水を混ぜます。そして発酵・熟成させます。

豆味噌

蒸した大豆を玉にして「味噌玉」を作り、種麹を周りにつけます。30~35℃で麹菌を増やしてから、味噌玉をつぶして塩水と混ぜ、長期熟成させます。

「さしすせそ」…味噌が最後であることがふさわしい理由

さしすせそは料理をするときに調味料を入れる基本の順番です。

料理の基本

これは単なる言葉遊びなのではなく、実はこの順番で調味料を投入するのが科学的に良いからなのです。

最初に「砂糖」を入れるのが良いのは、他の食材を柔らかくする働きがあることと、砂糖の味が食材にしみ込むのに時間がかかるからです。

逆に、「塩」は他の食材の組織をしめてしまいます。そのため、塩が先だと、砂糖がしみ込みにくくなってしまうのです。

「酢」は最初に入れてしまうと酸味がとんでしまい、「醤油」や「味噌」も同様に香りがとぶので、最初から加えないほうが良いとされているのです。

味噌汁は、味噌の旨味と香りを存分に楽しめる料理ですね。最初から味噌を入れて長時間煮てしまうと、その香りや風味がなくなって塩辛さだけが残ってしまいますので、味噌は最後に加えるようにしましょう。

味噌の分類と産地 ~地域で独自に発展した味噌~

少し前の日本では、市場(いちば)に味噌専門店がありました。お店の人が樽からしゃもじで味噌をすくってビニールに入れて売ってくれました。その店の前を通ると、とてもいい香りがしました。

そして、様々な色をした味噌が山盛りになって樽に入って並んでいる風景を見て、「味噌ってこんなに種類があるんだな」と、子どもながらに感じたものでした。
そこで、ここでは味噌の分類やなぜ違う色の味噌ができるのかを、解説していきます。

味噌は大きく9種類に分類される

味噌は、麹原料による分類、味や色による分類、食塩の量による分類があります。

原料による分類 味や色による分類 塩分(%) 名称
米みそ 甘みそ 5〜7 西京みそ、讃岐みそ
5〜7 江戸甘みそ
甘口みそ 淡色 7〜12 相白みそ
11〜13 御膳みそ
辛口みそ 淡色 11〜13 信州みそ
11〜13 津軽みそ、仙台みそ、越後みそ
麦みそ 甘口みそ 9〜11 (四国・九州に多い)
辛口みそ 11〜13 (関東に多い)
豆みそ 10〜12 八丁みそ、たまりみそ

出典:新食品成分表 FOODS 2001

大きく分けると9つですが、味噌は各地域により独自に発展し、全国的に様々な特色を持った味噌が多種類あります。すべての種類の味噌で研究をすることは難しいので、代表的な数種類の味噌で機能性の研究が進められています。

白くて甘い味噌があるのはなぜ?

「味噌と言えば、色が赤褐色で塩辛い」というイメージを持つ人も多いかもしれません。でも「関西の白みそは色が淡く、甘みが強い」です。なぜ、このように大きな違いがあるのでしょうか?

まず、色が淡くてクリーム色である理由は、熟成期間が短いからです。味噌は熟成期間が長いほど、色が赤褐色になります。

そして、甘みが強い理由は、米麹の使用量が多いからです。同じ米味噌であっても、米麹の使用割合を高くすることで甘みが強い味噌をつくることができます。

ちなみに、同じようにクリーム色の味噌には、信州みそがあります。しかし、信州みそは辛口です。クリーム色の味噌がすべて甘い味噌ではないので、知っておくと便利ですね。

味噌は種類によって塩分や成分が異なる

麦みそ

味噌は数多くの種類があるわけですが、味や色だけではなく、含まれる成分も違っています。ここでは、塩分(食塩相当量)の違いや、「メラノイジン」という成分についても解説していきます。

味噌の塩分量は種類によって約7%ほどの差がある

食品成分表(2021)には可食部100g当たりの塩分量が示されています。

食品名 食塩相当量 備考
米みそ 甘みそ 6.1g 別名:西京みそ、関西白みそ
淡色辛みそ 12.4g 別名:信州みそ
赤色辛みそ 13.0g
麦みそ 10.7g 別名:田舎みそ
豆みそ 10.9g 別名:東海豆みそ、名古屋みそ、八丁みそ

出典:新食品成分表 FOODS 2001

最も塩分が少ない味噌は、米味噌(甘味噌)の6.1%。一方、最も塩分が多い味噌は、米味噌(赤色辛みそ)の13.0%。味噌には、様々な塩分量のものがあるので、パッケージの表示を見て選んでみましょう。

赤褐色味噌の「メラノイジン」

味噌は、熟成過程でアミノカルボニル反応により「メラノイジン」という物質が生じます。これは、味噌の原料に由来するアミノ酸と糖が化学反応したもので、色の濃い味噌の褐色物質です。

駒沢女子短期大学の下澤先生・西山先生による、メラノイジンの抗酸化作用を研究した論文があります。結果、生成したメラノイジンが多く、赤褐色となった味噌ほど抗酸化作用が高いことがわかりました。

そして、大豆の抗酸化成分を多く含む豆味噌が、米味噌や麦味噌よりも抗酸化作用が高いことがわかりました。味噌汁の中でも、赤だしはこの抗酸化作用が高い味噌汁であることが示されています。

出典:下橋淳子・西山一朗;味噌の色調と抗酸化性との関係, 日本食生活学会誌,Vol.19 NO.3(2008)

味噌とイソフラボン ~味噌汁1杯で摂れる量~

イソフラボンは生活習慣病や骨粗しょう症予防をサポートし、そして更年期に減少する女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをしてくれます。

イソフラボンは大豆以外の食材にはほとんど含まれていないので、味噌をはじめとする大豆製品はイソフラボンの供給に大きな役割を果たしています。ここでは、味噌汁と大豆イソフラボンに特化して解説していきます。

味噌汁1杯のイソフラボン量は約9mg

厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)の評価書には、食品100g中の大豆イソフラボン(アグリコンとして)の量が示されています。

食品名(検体数) 含有量(mg/100g) 平均含有量(mg/100g)
豆腐(4検体) 17.1~24.3 20.3
油揚げ類(3検体) 28.8~53.4 39.2
味噌(8検体) 12.8~81.4 49.5

味噌汁に入れる味噌の量は、具材の種類や味噌の種類によっても変わりますし、濃さのお好みも人によって違いがあるので、量はご家庭で加減されていると思います。ここでは、だし汁200mlに味噌大さじ1杯(18g)を使ったとして計算しました。結果、味噌汁1杯で約9mgの大豆イソフラボンが摂取できることになります。

イソフラボンが最も多い味噌は豆味噌

玉川大学の清澤先生の論文では、味噌の種類によるイソフラボン含量の違いが示されています。大豆イソフラボンのアグリコンであるダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインの量は、下記のようになっています。

種類 ダイゼイン ゲニステイン グリシテイン
米味噌 90ug/g 23ug/g 134ug/g
麦味噌 30ug/g 6ug/g 54ug/g
豆味噌 208ug/g 33ug/g 241ug/g

出典:清澤功;味噌イソフラボンについて, 醸協, Vol.94 NO.8(1999)より抜粋

大豆のみで作られているため、豆味噌は他の種類の味噌よりもイソフラボン含有量が高いことがわかります。

味噌汁の具に大豆製品を使ってイソフラボン量をUP!

大豆イソフラボンを多く含む味噌汁を作るには、具に大豆製品を使うことをオススメします。

  • 豆腐30g=大豆イソフラボン約6mg
  • 油揚げ10g=大豆イソフラボン約4mg

味噌大さじ1杯は大豆イソフラボンが9mgでしたので、豆腐入り味噌汁1杯で約15mg、油揚げ入り味噌汁1杯で約13mgの大豆イソフラボンを摂取できることになりますね。

大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量ですが、食品安全委員会では上限を70~75mgと設定しています。平成15年から平成19年度までの国民・健康栄養調査に基づいて試算された研究では、1日当たりの大豆イソフラボン摂取量は20mg~25mg程度と試算されています。そして、摂取量は個人差がとても大きいです。

和食には大豆製品を使うことも多く、他のメニューからも大豆イソフラボンを摂れることもあると考えられますので、味噌汁を1日1杯は飲みたいところですね。

普段洋食が多くて味噌汁を飲んでいない食生活を送っておられる方は、夕食を和食に代えて味噌汁も用意するようにすると、エネルギー(kcal)が低めな食事で大豆イソフラボンを摂ることもできるので、一石二鳥ですね。

大豆イソフラボンは体内に貯められない

大豆イソフラボンは摂取してから約1日でほとんどが体外に排出されてしまいます。
なので、「明日からしばらく味噌汁を飲めない生活が続きそうから、今日まとめて何杯も飲んでおこう」とたくさん味噌汁を飲んだとしても、そのほとんどが次の日に排出されてしまいます。したがって、味噌汁はまとめて飲むのではなく、毎日1杯ずつを続けるのが良いでしょう。

味噌汁の塩分と血圧

様々な大豆製品の中でも、味噌については塩分量を気にする人もおられるのではと思います。また、加齢に伴い、味が感じにくくなるのでついつい濃い味付けにしてしまい、食塩を摂りすぎてしまうこともあります。ここでは、味噌汁の塩分について、解説していきます。

味噌汁1杯の食塩相当量は 約1.1~2.3g

1杯に大さじ1(約18g)の味噌を使ったとして、味噌汁1杯の食塩量を計算してみましょう。
1番塩分の少ない米味噌(甘味噌)を使った場合で約1.1g、1番塩分の多い米味噌(赤色辛味噌)を使った場合で2.3gの食塩を摂取することになります。

ミネラルの食事摂取基準では、食塩相当量の目標量は、男性で7.5g/日未満、女性で6.5g/日未満と設定されています。単純に÷3をすると、1食当たりで男性は2.5g未満、女性は2.1g未満に食塩を抑える必要があります。

他の食事からの塩分もありますので、この食塩摂取の観点からは、味噌汁は1日1杯程度にしておくほうが良いと考えられます。一方で、味噌摂取と血圧上昇についての研究も進んでおり、味噌汁1日1~3杯の摂取で血圧に影響を与えなかったという研究結果もあります。

出典:上原誉志夫,(社)中央味噌研究所第1回みそサイエンス研究会総会(平成25年度研究助成報告会),平成26年6月10日

味噌汁の塩分が気になる人にオススメの工夫点

味噌汁中の塩分量が気になる方は、味噌汁の具にカリウムの多い食材を用いると良いでしょう。さつまいもやじゃがいも、ほうれん草などがオススメです。

そして、味噌汁以外の食事を食塩量の少ないメニューにすることも工夫の1つです。生姜・ニンニク、ハーブ類などのスパイス、酸味やだしを使って、食塩量が少なくても味に満足できる食事にするのがポイントです。

まとめ

飲むとホッとする日本の汁物・味噌汁。今回は、味噌汁1杯の大豆イソフラボンや塩分の量を計算してみました。食の欧米化がすすみ、和食をあまり食べない方もおられると思いますので、まずは味噌汁を1日1杯飲んでみてはいかがでしょうか?

味噌汁1日1杯ですと、大豆イソフラボンの過剰摂取にもつながりにくいですし、食塩量も目標量を上回るリスクが少ないと考えられます。
大豆イソフラボンは翌日にはほとんどが排出されてしまいますので、1日にまとめて味噌汁を飲んで次の日は飲まないよりも、1日に1杯ずつ味噌汁を飲むことをオススメします。

また、米味噌、麦味噌、豆味噌の製造方法や特徴も解説しました。食塩の量が少ないものは米味噌(甘味噌)、そして大豆イソフラボン含有量が多いものは豆味噌でした。目的や味の好みに応じて、味噌を選んでもらえると良いと思います。色々な風味がプラスされていくので、何種類かの味噌を混ぜて味噌汁を作るのもおすすめですよ。

 
   
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