時間栄養学とは朝起きてから夜寝るまでの食事をとる時間について

時間栄養学

時間栄養学の観点からダイエット方法を考える

糖質制限ダイエット、ケトン体ダイエットなど、食べ物を制限したダイエット法が数多く存在している一方、食べ物ではなく、食べる時間帯を改善し、健康的な食生活が送れないものかと考えたとき、時間栄養学をきちんと理解しておくことが第一条件です。
科学的な根拠や世界の学会で発表されているデータをもとに、時間栄養学について考えてみましょう。

日本人の現状について

生活習慣病の予備軍やそれを予防するための健診基準があり、日本他の国に比べ、肥満に対して、 厳しい基準値が定められています。特に、女性の場合は他の国の女性に比べ、見るからに細身であっても、更に体重減量を求める人が多いのです。しかし、男性に関しては、年々増え続ける生活習慣病患者が社会的問題となっています。
食事量を制限したり、運動を取り入れることで、減量はできますが、長期的にそれらを行い続ける必要がありますが、食べる時間を気を付ければ痩せやすい身体を作れるということ、知っていましたか?

今回は、朝起きてから夜寝るまでの食事をとる時間について、私たち人間の体内時計との関係性から学んでいきましょう。その前に、今の日本人の生活スタイルの実態を把握する必要があります。



日本人の生活リズムは果たして健康的なのか考える

とにかく日本人は働き過ぎと言われており、朝早くから夜遅くまで残業する割合が非常に高いです。残業すればするだけ仕事をしているという訳ではないのですが、一人当たりがこなすべき仕事量が多いのが現状です。このような社会背景から、夕食の時間が遅くなり、夕食後すぐに眠りにつく人が多いと言われています。

短時間の睡眠を取ったあと、再び、出勤という日常サイクルです。こういった生活リズムでは、仕事が最優先となり、自身の健康については全く無関心のように思います。勤めている会社で健康診断や人間ドックが義務化しているにも関わらず、健診結果は、再検査になる人の割合が減少しないのが現状です。

果たして、この現状を問題と捉え、解決しようとしている会社はどれくらいあるのでしょうか。では、次に、過労に伴い、夕食の喫食時間が遅くなることで私たちの体にどのような影響を来すのか解説していきます。

▼夕飯の喫食時間と体への負担

寝る直前の夕飯は体に負担がかかったり、胃もたれをするというのはよく聞く話ですが、何故なのでしょうか。実際に、体内ではどのようなことが行われているのかを確認していきましょう。
私達の身体は、日中の起きている時間帯は、食べたものをエネルギー源とし身体を動かしたり、仕事をするにあたって知らぬ間に脳内にエネルギーを送り、カロリーを消費しています。そして、消費しきれなかった分を体内で消化・吸収しています。しかし、寝ている状態では、脳内にエネルギーを送る必要もないので、体内での消化・吸収だけに100%の力を使うこととなるのです。

つまり、食べたあとに2時間の時間があれば、その間にエネルギーとしてカロリー消費できるのですが、寝る直前に夕飯を食べると、食べた分は全て体内で消化・吸収されてしまい、体脂肪として蓄えられるしくみになっているのです。
では、なぜ、睡眠の2時間前までに夕飯を食べ終えているべきなのか。ある程度の食べ物は2時間で消化・吸収され、翌日に繰り越すことはないからです。(ただし、食べすぎた場合はもっと長い時間がかかります。)この夕飯を食べるべき時間を意識し、取り組むだけでも、血糖値や中性脂肪の数値改善につながります。では、夕飯の時間だけを気を付ければいいのか?という観点から、次は時間栄養学について解説していきます。

知ってほしい、“時間栄養学”のしくみについて

まず始めに、知っておいてもらいたいことは時間栄養学には、体内時計が関与しているということです。1日の時間は誰にも平等に24時間ありますが、私たち人間の体内時計は24時間ではありません。この体内時計は約25時間と設定されています。

体内時計と一般的な時計の軸が1時間ずれているにも関わらず、体内時計は、いつリセットされているのでしょうか。

実は、体内時計は、朝日を見た瞬間にリセットされるのです。つまり、朝起きた瞬間はカーテンで朝日が遮られている場合、カーテンを開けた瞬間にリセットされます。また、窓から太陽の光が差し込む場合には、朝目覚めた瞬間にリセットされるというわけです。そして、大切なのが食事を取る時間帯です。

いつも決まった時間に食事を摂ることで、体の内臓も決まった時間に働きかけます。内臓の働きを調整するのに大事なのが、朝食を起きた2時間以内に摂るということです。寝て休んでいた内臓は朝食を摂ることで、働き始めす。この働き始めの時間が遅れてしまうと、体内時計のバランスが崩れてしまうのです。

夕食は朝食を摂ってから12時間以内に摂ることが望ましいのです。これは、アメリカのデータで、夕食から朝食までに12時間あると、体重の減少と睡眠の質が向上するという結果が出ているからです。つまり、気をつける点は、食事をとる時間と朝日を浴びること、そして、睡眠時間をしっかりと確保することが、健康な体づくりに必要であると言えます。

体内時計はなぜ太陽の光でリセットされるのか

基本的な日常生活を送っていれば、私たちの体は、朝目が覚め、夜に眠くなるようにできています。これには、睡眠に欠かせない、メロトニンというホルモンが大きく関与しているのです。このメロトニンは、朝の太陽の光を浴び、目の神経から脳内に伝わり、分泌されます。メロトニンの分泌量が増えれば増えるほど、良質な睡眠が取れるといことになります。そして、メロトニンは、朝日を浴びてから約16時間後に十分量分泌され、眠たくなるという人間の体のメカニズムなのです。逆にメロトニンが不足した状態で眠りにつくと、夜中に目が覚めやすいのです。

でも、どうして、太陽の光でなくてはいけないのか、部屋の電気では、代用できないのかという疑問が生まれてきますね。実は、メロトニンを分泌させるには、ある一定量の光の強さが必要となります。それが、部屋の電気の光の強さでは到底足りず、朝日の光の強さが適しているからです。つまり、昼夜逆転生活を送っている人の場合は、体内時計と一般的な時計軸の歯車が合わずに、睡眠の質が劣っていることが多いです。そして、健康診断では異常を見られる人が圧倒的に多いのです。
次に、着目したい点は、食事のタイミングと体に及ぼす負担についてです。



食事のタイミングと体への負担

少量を数回に分けて食べた方が良いという意見や、1日1回の食事を摂った方がダイエットには好都合だという、対局の意見がありますが、どちらも身体にとっては負担です。では、どのように負担を与えているのか、また、体の中ではどのような変化が起きているのか解説していきます。

▼摂った食事を体脂肪として溜め込みやすくなる。

体重を減量するために、1日1食にすべきだという意見や、1日1食の方がむしろ健康であるという意見もあるが、実際に1日1食にした場合、体内はどのように働きかけているのでしようか。
人間の体は1日3食で、栄養素を消化吸収できるようになっています。(しかし、乳幼児は一度に消化・吸収できる量に限りがあるので、捕食を取って栄養を補っているのです。)成長と共に私たち人間は、一度に栄養素を消化・吸収できる量が増えてきます。逆に1日中食べっぱなしの場合、内臓が休む間もなく機能していることになるので、体への負担が大きくなり、高血糖や脂質異常症などの発症を来す恐れがあります。

だからと言って、1日1食に内臓への負担を減らそうという考えは間違っています。なぜなら、人間の体は空腹状態が続くと、体内がエネルギー不足になります。その状態で食事をすると、全ての栄養素を吸収し、体内に体脂肪として蓄えようとします。その為、体脂肪がつきやすく、太りやすい体になってしまうのです。そして、

▼代謝が悪くなる

人間には寝ているだけでもカロリーを消費する働きがあります。これが『基礎代謝』です。この基礎代謝は、人によって異なりますが、年齢が上がるとともに基礎代謝量は減少します。つまり、基礎代謝が下がると、消費エネルギーが少なくなるので、痩せやすい体を作るためには基礎代謝量を上げられるようなしなければいけません。

では、1日1食の食生活の時は、体内でどのようなことが行われているのでしょうか。1日1食の生活では、空腹状態の時間が長く、体が飢餓状態にあるのです。飢餓状態であろうと、「どうにか生き延びよう」という思いで、脳から、「今まで基礎代謝で消費していたエネルギーを減らす」ように指令が出るのです。そして、代謝機能が悪くなり、「今まで通り食べても太りやすくなった…。どうして?」という事態を引き起こすのです。

このように1日1食では、自分自身で痩せにくい体を作っているということになります。そもそも、体重を増量したいお相撲さんの食生活は1日1食であることを知っていましたか?それは、食べたものを全て吸収させて、体重増加につなげるためだそうです。

お昼はどうして食べなくてはいけないのか

朝食を起床2時間以内にとること、そして、夕食は、朝食から12時間以内に食べることが時間栄養学で重要であるとお伝えしてきました。では、昼食はどうして食べなくてはいけないのでしょうか。

食べたものを脂肪として蓄えにくい時間帯があります。朝7時に起床した場合、12時〜15時が脂肪の吸収が緩やかになります。これには、ビーマルワンという脂肪細胞が関与しています。このビーマルワンは、体内時計を正常に機能する働きがあり、脂肪を体内に蓄える働きがあるのです。
ビーマルワンは朝起きてから昼過ぎまでが機能が少なく、夜の22時以降は活発に活動しているのです。つまり、ビーマルワンの活動が少ない、12時頃にきちんと昼食を摂る必要があり、その時間に食べても太りにくいというデータが出ています。逆に、夜遅くの食事は、ビーマルワンの活動からも、体内に脂肪として蓄えやすいということがわかりますね。

時間栄養学を考慮した食生活は生活習慣病でなくても取り組むことができる

 ここまで、時間栄養学の正しい知識は生活習慣病患者を中心に身につけて欲しいと述べてきたが、実際にもともと健康体な人にもぜひ取り組んでもらいたい生活リズムです。
時間栄養学を取り入れて、太りにくく痩せやすい体質を手に入れましょう。20代の成人は朝食欠食の割合が非常に高いです。朝食を食べる習慣をきちんと身につけ、その時間から逆算して、昼食・夕食をとるように心がけましょう。
 今までと同じものを食べていても、時間を意識するだけで、体内の内臓を効率良く働かせることができます。



実際に時間栄養学の概念を元に生活ができるのか

時間栄養学の概念ついて、解説してきましたが、これを実生活に全て取り入れようとするのはかなり難しいのが現状です。また、この考えについてはなかなか浸透していないのも現状です。

最も難しいとされるのは、朝食を摂ってから、12時間以内に夕食を摂るということなのではないかと捉えています。通勤時間や勤務時間を考慮するとなかなか難しいですね。しかし、今回、このように時間栄養学と体内のメカニズムについて、解説し、お伝えしたことで、少しでも、今後の食生活に意識を向けてもらえればと思います。
時間栄養学の概念を踏まえた上で、日本は生活習慣病患者が増え、社会的問題となっているにも関わらず、なかなか減少しないのは、食べる物だけに原因があるのではなく、喫食時間帯や睡眠時間がしっかり確保できているのかどうかがポイントとなっているのではないかと考えます。食事時間を見直すだけで、ダイエットが成功したり、血液検査の結果が改善していけば非常に喜ばしいことですね。

医者や栄養士・管理栄養士が時間栄養学に目を傾け、患者さんに食べていいものと食べてはいけないものを伝えるのではなく、三食食べることの勧めや、睡眠時間をしっかり確保することの大切さを正しく伝えていくのも社会問題を抱える上でいい解決策になるのではないかと考えます。
時間栄養学に関する情報が増え、人々の健康に対する意識が変わることや、私たちの体にとって負担なく行えるダイエット法であることを実感出来る日が来ると信じています。

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