食品や調味料から自然と摂ってきた大豆イソフラボンが現代人は不足している!?
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健康や美容をサポートしてくれる大豆イソフラボン。大豆加工品は使われている大豆の種類や製造方法が異なるので、大豆イソフラボンの含有量も様々です。
そして、大豆が発見されてから長い年月が経ちますが、私たちは大豆イソフラボンをどれだけ摂取しているのでしょうか?この記事では、様々な大豆加工品や大豆イソフラボンの摂取量・含有量について、管理栄養士が解説していきます。
執筆者:石原 恵子
資 格:管理栄養士|食品衛生監視員|食品衛生管理者|フードコーディネーター
3種類の加工で生み出される多様な大豆加工品
「大豆って、ベージュ色のものだけだよね?」「もめん豆腐ときぬごし豆腐って、作り方がどう違うの?」大豆は豆腐や豆乳、味噌や醤油などの調味料があり、私たちの食生活で大変親しみがある日本の伝統食です。
豆まきの日には大豆そのものを見たり触ったりする機会がありますが、大豆にはどのようなものがあるか、大豆はどのように加工されて製品が出来上がっているのか等、知らないことも多いですよね。ここでは、大豆や大豆の加工について解説していきます。
数百種類もある大豆
大豆と言えば、ベージュ色をした豆を思い浮かべる人が多いと思います。実は、大豆は数百種類もあると言われ、色と大きさは次のようなものがあります。
- 色 :黄・白・黒・緑
- 大きさ:大粒種・中粒種・小粒種
黒色の大豆は、お正月に食べる煮豆で馴染みがあるかと思います。大きさとしては、小粒または獄小粒は納豆、中~大粒は味噌、大粒は煮豆に用いられることが多いです。
また、「枝豆は、大豆なの?違う豆なの?」と疑問に持つ方もおられると思いますが、枝豆は1ヶ月ほど早く収穫した“大豆”です。それぞれの色の豆が枝豆として食べられています。
大豆にできる加工とは
大豆が発見されて約3000年になります。栄養豊富な大豆ですが、生で食べることはできないため、様々な加工方法が研究されて食べやすく美味しい大豆加工品が開発されています。
-
加熱
- 煎る、蒸す、液状にして加熱など
- 煎り豆、きな粉、蒸し豆、豆乳など
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食塩・凝固剤の添加・pH調整
- 豆乳にニガリなどの凝固剤を加える→豆腐
- 煮た豆に食塩を加え発酵→味噌、醤油
- pH低下剤(グルコノデルタラクトン)の添加→消費費期限の長い充填豆腐
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発酵
- 蒸煮大豆を納豆菌で発酵→納豆
- 蒸し煮大豆と麹(こうじ)を混ぜて食塩を添加し、発酵→味噌、醤油
参考:小野伴忠,大豆の栄養と機能性≪普及版≫,p.86-88(2021)
大豆加工品をいくつ知ってる?
日本では昔から大豆が伝統的に食べられています。
まず、思い浮かぶのが【豆腐類】です。豆腐類には、豆腐、油揚げ・厚揚げ、がんもどきがあります。
豆腐は、もめん豆腐、きぬごし豆腐、充填きぬごし豆腐、焼き豆腐の4種類があります。
もめん豆腐は、豆乳にニガリなどを加えて凝固させたものを崩して型に移し、圧搾・成型したものです。
一方、きぬごし豆腐は、豆乳とニガリなどの凝固剤を型箱の中で混ぜ、全体をゼリー状に固めたものです。
作り方に違いがあるのですね。油揚げや厚揚げはもめん豆腐を水切りして植物油で揚げたもの、がんもどきは他の具材も加えて植物油で揚げたものになります。
その他、凍り豆腐、湯葉、納豆、きな粉、おから、みそ、しょうゆ、豆乳、煮豆などがあります。
おからはあまり食べなれないかもしれませんが、豆乳を作ったときの搾りかすで、豆腐売り場でも買うことができます。おからを混ぜたクッキーなども人気ですね。
日本人のイソフラボン摂取量 ~10人に1人は2mg以下!!~
「日本人に不足している栄養素は?」と聞かれると「カルシウムかな?」「食物繊維ですか?」などが思い浮かぶ方もいらっしゃることでしょう。
炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどは過不足がよく話題になりますが、その分類では語られない「大豆イソフラボン」については知ることのできる機会も少ないのではと思います。
食品安全委員会では大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限を70~75mgと設定していますが、日本人はどの程度大豆イソフラボンを摂取しているのでしょうか?
ここでは大豆イソフラボンの摂取量に関する話題をこれまでに発表されている研究結果も交えながら解説していきます。
豆類の摂取は足りている?「健康日本21」との比較より
21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)は厚生労働省が推進しており、大豆を含む豆類は緑黄色野菜、牛乳などと共にカルシウムを多く含む食品として掲載されています。豆類は1日100g以上の摂取量が目安とされています。
しかし、令和元年度国民健康・栄養調査の結果では、豆類の1人1日当たりの摂取量の平均値は男性20歳以上で64.0g、女性20歳以上で65.1gでした。
このことから、大豆を含む豆類の摂取を増やすほうが良いことがわかります。
日本人の大豆イソフラボンの摂取量 ~年度別~
昭和50年から平成14年までの国民栄養調査結果において、大豆食品などの摂取量に大きな変化が見られず、この30年間においても大豆イソフラボン摂取量はほとんど変化していないと考えられています。
また、平成15年から平成19年度までの国民・健康栄養調査に基づいて試算された研究があります。1日当たりの大豆イソフラボン摂取量は20mg~25mg程度であることがわかりました。この期間においては、大豆イソフラボンの摂取量はわずかに減少傾向であることがわかりました。
出典:難波文男,日本食生活学会誌,28(4)225-229(2018)
日本人の大豆イソフラボンの摂取量 ~年齢階級別~
平成14年度の調査結果を年代ごとに分析した結果では、若い世代ほど大豆イソフラボンの摂取量が少ないことがわかりました。
10代後半では1日平均19mg、60代では1日平均28.7mgと大きな開きがあることがわかりました。
出典:難波文男,日本食生活学会誌,28(4)225-229(2018)
日本人の大豆イソフラボンの摂取量 ~分布~
平成19年度の国民栄養調査に基づく大豆由来食品からの大豆イソフラボン摂取量を分布図に示した研究があります。
出典:厚生労働省ホームページ
横軸はイソフラボン摂取量、縦軸はイソフラボンを摂れている人の割合(%)を表しています。つまり、左の方の人ほどイソフラボン摂取量が少なく、右の方の人ほどイソフラボンを多く摂取できていることを示しています。
1番高さが高い棒グラフはどこでしょうか?左から2本目ですね。つまり、10%以上の人が、1日に大豆イソフラボンを2mg以下しか摂取できていないことを示しています。
食品安全委員会では大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限を70~75mgと設定しています。このことから、日本人は大豆イソフラボンが様々な健康サポート効果を発揮するために十分な量を摂取できているとは言えない状態であることがわかります。
大豆イソフラボン 食材ごとの含有量
食材のビタミンやミネラルなどの栄養素の量を知りたいとき、食品成分表を調べると含有量を知ることができます。しかし、大豆イソフラボンなどの健康成分は食品成分表には記載されていないので、なかなか含有量を目にすることはないと思います。
大豆を原料として作られる大豆加工品には、ほとんどのものに大豆イソフラボンが含まれています。大豆の種類や製造方法により、大豆加工品の大豆イソフラボンの含有量はそれぞれ異なります。ここでは、製品別の大豆イソフラボン含有量を紹介します。
製品別イソフラボン含有量
厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)の評価書には、食品100g中の大豆イソフラボン(アグリコンとして)の量が示されています。
食品名(検体数) | 含有量(mg/100g) | 平均含有量(mg/100g) |
---|---|---|
大豆(11検体) | 88.3~207.7 | 140.4 |
煮大豆(3検体) | 69.0〜74.7 | 72.1 |
揚げ大豆(1検体) | 200.7 | 200.7 |
黄粉(2検体) | 211.1〜321.4 | 266.2 |
豆腐(4検体) | 17.1〜24.3 | 20.3 |
凍り豆腐(1検体) | 88.5 | 88.5 |
おから(1検体) | 10.5 | 10.5 |
金山寺みそ(1検体) | 12.8 | 12.8 |
油揚げ類(3検体) | 28.8〜53.4 | 39.2 |
納豆(2検体) | 65.6〜81.3 | 73.5 |
味噌(8検体) | 12.8〜81.4 | 49.5 |
醤油(8検体) | 1.0〜1.7 | 0.9 |
豆乳(3検体) | 7.6〜59.4 | 24.8 |
例えば、1丁が約350gの豆腐には、約70mgの大豆イソフラボンが含まれていると考えることができます。また、豆乳をコップで200g飲むと、約50mgの大豆イソフラボンが摂取できることになります。
オススメの大豆製品の摂り方を3つを紹介
多くの大豆加工品にイソフラボンが含まれていますが、食の欧米化がすすみ、洋食メニューでは大豆加工品が摂取しにくい傾向にあります。
例えば、「洋風のチーズ豆腐グラタン」などは洋食でも豆腐を食べるメニューのヒントになると思います。中華メニューですと、麻婆豆腐を選ぶと豆腐をたくさん食べることができますね。
和食ならば、味噌や醤油などの調味料も使いやすく、豆腐や油揚げや大豆を使って煮物やあんかけ、和え物、汁物などバリエーションがたくさんありますね。
ここでは、身近に手に入る食材を使って、少しずつ毎日の食生活の中で大豆イソフラボンを補給する方法をご紹介します。
「ドライパック」を上手に利用しよう!
スーパーの常温コーナーで売っている「ドライパック」をご存じでしょうか?コーンやひじき、大豆などが小さなパックに入っている商品です。
水戻しや軽くゆでた食材を缶やレトルトパウチに詰め、食材に含まれる水分で蒸し上げる製法です。水煮とは違って、素材の風味そのものが味わえると人気です。
食材を水で戻したり下ゆでする手間が省けますし、容器を開けたらすぐにそのまま食べたり料理に使うことができます。
「ドライパック」の蒸し大豆をいつものサラダやスープにトッピングすると、簡単に1食の中に大豆を取り入れることができます。また、ドライパックのひじきと大豆を使うと、水戻しなどの工程を省いて「大豆とひじきの煮物」をすぐに作ることができます。
ドライパックは常温保管できるので、非常食としても備蓄しておくと心強いですね。
朝食の主食にもトッピングしやすい ~きなこを常備~
朝食で食べられること多い食パン。きな粉を使って、「和風トースト」に変身させてみましょう。
食パンをトースターで焼き、バターを塗ってから、きな粉と砂糖を振りかけて食べます。
砂糖の代わりに黒蜜を使うと風味が増しますし、グラニュー糖にすると食感に変化をつけることができます。また、違う日の朝食には、「電子レンジで作るきなこ餅」はいかがでしょうか?
お餅と言えば、トースターで表面がきつね色になってふっくらした姿のイメージが強いと思います。きな粉餅は、お餅の表面に水分を含ませて粉をつけたいので、電子レンジで水分を含んでトロトロになったお餅が扱いやすいです。
耐熱容器に水とお餅を入れて電子レンジへ。お餅が柔らかくなったら容器から取り出し、きな粉と砂糖を表面にまぶしたら出来上がりです。
塩分を気にしている人へ ~甘く煮た大豆が味方~
塩分量を気にしている方は、味噌汁や甘辛く煮た大豆料理の塩分量が心配かもしれません。
そのような方に手軽に使える市販品としてお勧めなのが、黒豆の甘めの煮物。原材料は黒豆と糖類がメインで、食塩がごく少量含まれています。
メーカーにより多少違いますが、市販の小さなパック(約60g)なら食塩相当量は約0.3g程度です。これなら、塩分量を気にせずに大豆を摂ることができます。
また、煮汁はとても甘いので煮汁をあまり飲まないようにすると、糖の量を気にしている人でも安心して利用できますね。
まとめ
日本の伝統食である大豆の加工品や食材ごとの大豆イソフラボン含有量についてご紹介してきました。
大豆加工品は、鍋やあんかけなどの温かい料理にも合いますし、冷ややっこのようにして暑い季節にも美味しく食べることができます。
大豆イソフラボンはどの年代でも十分量を摂取できていない人が多く、摂取量の分布図からは摂取量が2mg以下の人が一番多いことがわかりました。
豆類は健康日本21での示された目標値の6~7割程度しか摂取できていないことからも、肉類の主菜が続いたら豆腐をメインとした主菜にしてみるなど、意識して大豆加工品を摂取するようにしてみましょう。
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食事宅配サービスは料理を作ることが苦手な方だけが利用するサービスではなくなってきています。
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