体に重要なエネルギー源の炭水化物は敵じゃない!!基本的な考えたと正しい食べ方をご紹介◎

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良い炭水化物

炭水化物といえば、ダイエットの敵になる栄養素だと認識していませんか。炭水化物は悪者ではありません。むしろ、炭水化物は私たちが生きていくために必要な栄養素です。

例えば、私たちはエネルギー源として炭水化物を利用し、考えたり、体を動かしたりします。他にも生きるために行う呼吸や心臓の拍動も炭水化物から手に入れたエネルギーを使っています。

このように私たちにメリットをもたらす栄養素である炭水化物が、悪者になるのはなぜでしょうか。

質の高い炭水化物とは何か、正しい食べ方や量はどれくらいかなど気になることが山積みですね。今回は炭水化物の基本について学んでみましょう。

執筆者:broccolin

資 格:管理栄養士|栄養教諭一種免許|食品衛生監視員|食品衛生管理者


炭水化物とは?

そもそも、炭水化物とはなんでしょうか。炭水化物とは、単糖あるいはそれを最小構成単位とする重合体です。炭素(C)と水(H₂O)から構成されるように見えたので炭水化物と名付けられました。

単糖にはブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースがあり、体内では炭水化物を小さな単糖にまで分解して吸収できるようにしています。

単糖が2つ結合した糖が二糖です。二糖には主に麦芽糖(マルトース)、ショ糖(スクロース)、乳糖(ラクトース)の3つがあります。

麦芽糖はブドウ糖とブドウ糖、ショ糖はブドウ糖と果糖、乳糖はブドウ糖とがラクトースが結合した糖です。二糖が結合すると、2~10個の糖が連なったオリゴ糖(少糖類)、さらに結合するとでん粉のような多糖類になります。

炭水化物を多く含む食品

炭水化物を多く含む食品として、主食となるご飯やパン、麺が挙げられます。他にも、いも類、でん粉類、一部の豆類、果実類、砂糖などの甘味調味料、清涼飲料水、アルコール飲料は炭水化物を多く含みます。

糖質と食物繊維

炭水化物は様々な観点から分類されますが、私たちにとって最も身近な分け方は「糖質」と「食物繊維」です。

加工食品の栄養成分表示を見てみると、炭水化物の下に糖質と食物繊維の量が書いてあります。

糖質」は消化することが簡単な炭水化物で、「食物繊維」はヒトが自力で消化することはできない炭水化物です。

「糖質」は消化吸収されてエネルギー源として働きます。「食物繊維」も腸内細菌による消化を受けてエネルギー源となりますが、その他に生活習慣病と関連する機能をもつ部分が注目されています。

炭水化物の体内での役割

先ほど少しだけ触れましたが、炭水化物には生命活動を行うためのエネルギー源になるという機能があります。ここで、栄養学の世界で一般的な「エネルギー産生栄養素」という呼び方とその内容について説明します。

エネルギーとは

「エネルギー産生栄養素」とは、その名の通りエネルギーを産生する栄養素のことです。

以前は「3大」栄養素として炭水化物、タンパク質、脂質、または「5大」栄養素として炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルが挙げられました。しかし、「3大」や「5大」といった呼び方をすると、3つあるいは5つの栄養素だけが重要だと勘違いしてしまいます。

そこで、体の中で起こる反応のエネルギーを産み出すという観点から炭水化物、タンパク質、脂質を「エネルギー産生栄養素として呼ぶようにしました。

1gあたりのエネルギー量

さて、炭水化物がどれくらいエネルギーを産生するかご存知でしょうか。「エネルギー産生栄養素」はそれぞれ1gあたりの産生エネルギー量が明らかになっています。

炭水化物とタンパク質は1gあたり約4kcal、脂質は1gあたり約9kcalのエネルギーを発生させます。

食物繊維は2kcal、純アルコールは7.1kcalで計算することが食事摂取基準で定められています。

エネルギー量の単位

日本の栄養表示でエネルギーの単位は「kcal(キロカロリー)」です。海外では「kJ(キロジュール)」が主流ですが、1kcal=4.184kJ≒4.2kJなので、海外のお菓子を食べる際は4.2で割るとエネルギー量が分かりやすくなります。

calやJは非常に小さい単位なので、1000倍を表す「k」が付きます。巷では、カロリーを減らすというような使い方をされますが、カロリーは単位なので正しくはエネルギーを減らすですね。

1calの定義は、1gの水の温度を1度上げるために必要なエネルギー量です。板チョコ5かけ(およそ100kcal)を食べたら1Lの水が沸騰するのと同等のエネルギー量であることを考えると、私たちの体はどれほど多くのエネルギーを取り入れて使用しているかイメージしやすいのではないでしょうか。

エネルギー産生の仕組み

それでは、エネルギーを産生するとはどういうことか詳しく見ていきましょう。

ヒトの体内では食物が取り込まれると小さく分解されて吸収されます。食物中の炭水化物が体の中に入ると、唾液から出るアミラーゼで多糖類が分解されて二糖類に、小腸粘膜から分泌されるマルターゼで二糖類が単糖類に分解されます。

単糖類が吸収されるとエネルギーを作り出すための回路に取り込まれ、1gあたり4kcalというエネルギーを生み出すのです。

炭水化物に関連する病気

炭水化物に関連する病気として有名な病気や状態には、糖尿病や肥満があります。

糖尿病

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリン作用の不足によって糖の代謝障害が起こる病気を指します。インスリンは血糖値を下げる作用のある唯一のホルモンなので、インスリンが不足すると糖を利用してエネルギーに変換できなくなります。

血液中のインスリンが不足状態に陥ると高血糖となり、高血糖状態が長く続くと全身の血管が障害され、動脈硬化や腎症、網膜症、神経障害に進行します。動脈硬化が起こると、日本で死因上位となる心不全、脳卒中が起こりやすくなります。

血糖値の急激な上昇によって血管が傷つくことが分かっているので、糖尿病を発症していなくても普段から血管が傷つくことのないように、血糖値が急に上がらないような食品選びと食べ方に気をつけたいですね。

肥満

肥満とは、体を構成する成分のうち体脂肪量が増大した状態を指します。一般的に成人の体脂肪量は男性で体重の15%~18%、女性で体重の20~25%ですが、男性で25%以上、女性で30%以上の場合に肥満の判定を下します。

肥満自体に症状はありませんが、合併症が発症すると体に良くありません。合併症に糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、脂肪肝、胆石、痛風とも呼ばれる高尿酸血症、不妊症、関節症があります。

エネルギーが多い偏った食事を摂り続けて肥満になると、これだけ多くの病気にかかりやすくなってしまいます。炭水化物は体に必要ですが、摂り過ぎてもいけないことを学んでいただけましたか。

炭水化物の正しい食べ方

理論的な考え方は難しく感じますよね。結局、朝昼晩でどれくらい食べても良いかが気になります。

体に良い炭水化物の食べ方で気をつけることは、血糖値を急に高くしないことです。そのためには、1日3食の炭水化物量を揃えることが望ましいです。

朝ご飯は食べない、昼はそこそこ、夜はガッツリ茶碗に大盛りご飯を食べる、なんならおかわりもするという食べ方は血糖値の変動を大きくするのでやめましょう。

白米ではなく玄米だとどうでしょうか。玄米には白米のおよそ4倍の食物繊維が含まれています。食物繊維には血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。よって、どうしても夜ご飯でドカ食いしてしまう人は主食を玄米にすると良いです。

エネルギー量は白米と玄米間でそこまで差がないので、玄米がヘルシーだからと言って、食べ過ぎないようにしましょうね。

エネルギー産生栄養素バランス

エネルギー産生栄養素バランスという言葉を紹介します。エネルギー産生栄養素バランスとは「エネルギーを産生する栄養素、すなわち、タンパク質、脂質、炭水化物とそれらの構成成分が総エネルギー摂取量に占めるべき割合」のことを指します。

この構成比率は日本人の食事摂取基準で目安が定められており、炭水化物は50~65%タンパク質は15~20%脂質は20~30%です。

炭水化物の割合が最も多いことから、冒頭にも述べた通り私たちの体に炭水化物は必要不可欠な重要な栄養素だということが分かります。さらに分かりやすくなるように例を挙げて考えてみます。

1日に摂取するエネルギーが2000kcalだとすると、炭水化物から2000kcal×50~65%=1000~1300kcalを摂取することが望ましいということになります。タンパク質からは2000kcal×15~20%=300~400kcal、脂質からは2000kcal×20~30%=400~600kcalの摂取が目安となります。

炭水化物を1000~1300kcal摂取すれば良いと分かっても、具体的にどれくらいの量を食べれば良いかイメージしづらいと思います。1gあたりのエネルギー量の項で述べた通り、炭水化物は1gあたり4kcalのエネルギーを産生します。

よって、1000~1300kcal/4kcal=250~325g、つまり1日に250~325gの炭水化物を摂取することが望ましいと言えます。

ここで1点注意が必要です。250~325gという数字はご飯をこの量食べれば良いという訳ではありません。茶碗1杯のご飯(ここでは150gとします)に炭水化物は55.7g含まれています。食パン1枚(6枚切)には26.6 gの炭水化物が含まれます。

朝食に6枚切食パン2枚、昼食と夕食でご飯を1杯ずつ食べるとすると主食だけで167.4gの炭水化物を摂取できることになります。目安量の250~325gまで余裕があるように感じられますが、ここでも注意が必要です。

炭水化物を多く含む食品の項で述べたように、いも類、果物、調味料、清涼飲料水、アルコール飲料などにも炭水化物は多く含まれるので、1日トータルでの摂取量を超えないか1度計算してみると良いでしょう。

まとめ

炭水化物の定義や重要性について詳しく分かりましたか?

炭水化物は体内で吸収されるとエネルギーを作ります。炭水化物は多糖類、オリゴ糖、単糖と段階的に消化され吸収されやすくなります。このような炭水化物の代謝に異常が生じると糖尿病に発展し、様々な合併症が進行するリスクを抱えることもあります。

炭水化物などエネルギー産生栄養素を摂り過ぎることで生じる肥満という状態も生活習慣病と呼ばれる多くの病気にかかるリスクを高める原因の1つです。

このような事態を避けるためにも、自分に合ったエネルギー摂取量とエネルギー産生栄養素バランスからどれくらいの量食べれば良いか考えながら食事を選択することが大切です。

炭水化物を適量食べることは体に良いことですが、少な過ぎたり多過ぎたりしないように立ち止まって確認するようにしましょう。

 
   
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