牛乳の代わりに豆乳に置き換えする必要性や注意点を解説【栄養やアミノ酸バランス比較】

豆乳と牛乳の違い

「豆乳と牛乳…同じ『乳』という文字がつく飲み物だけど、どちらが健康にいいのかな?」「豆乳って、牛乳の代わりに使えるの?」
昔は、朝になると宅配業者さんが自転車で牛乳を配達に来てくれる風景があちこちで見られました。今では車で配達、箱も保冷箱になっているようです。そして、一方の豆乳もだんだん認知されるようになってきました。
この記事では、豆乳と牛乳の栄養学的な違いや牛乳の代わりに豆乳を使う時の注意点などについて、管理栄養士が解説していきます。

執筆者:石原 恵子

資 格:管理栄養士|食品衛生監視員|食品衛生管理者|フードコーディネーター

意外と知らない豆乳と牛乳の歴史や製法

豆乳と牛乳はいつごろ日本に伝わり、いつごろから広く認知されるようになったのでしょうか?また、豆乳と牛乳の製法や、他にはどのような製品が作られていくのでしょうか?ここでは、歴史や製法について解説していきます。

豆乳と牛乳が日本にやってきたのはいつ?

豆乳は大豆製品の中でも唯一の液体食品。豆乳を使用した食品の一つが豆腐です。日本では鎌倉時代の古文書に「豆乳」が記された記録があり、豆腐は奈良時代に中国の唐から製造方法が伝えられたとされています。豆乳が日本で広く認知されるようになったのは昭和57~58年の豆乳ブーム。近年では伝統時大豆食品の消費量は減少傾向ですが、豆乳の消費量は増加傾向を示しています。

牛乳が日本に伝えられたのは飛鳥時代。しかし、長い間、身分の高い人たちの飲みものでした。庶民の飲みものとなったのは明治時代。明治政府は北海道の開拓に酪農を取り入れており、牛乳の栄養について広めたそうです。戦後、1955年からの高度成長期に食の欧米化が進み、牛乳・乳製品や肉などの動物性食品の消費量が伸びました。そして、肥満や生活習慣病などが問題となってきました。

  • 著者:福田滿|大豆の栄養と機能性

豆乳や牛乳、どうやって作っているの??

豆乳は、大豆が原料です。大豆を蒸煮して酵素を失活させ、粉砕して絞ります。調整豆乳などは成分が調整されます。そして、高温で殺菌し、冷却後均質化して、充填されます。また、豆乳ににがりを加えて凝固させて豆腐が、豆乳を加熱・被膜乾燥させて湯葉が作られます。豆乳を絞る際の副産物が、おからです。

牛乳は、生乳(牛から絞ったままの未殺菌乳)が原料です。牛乳、脱脂肪牛乳、無脂肪牛乳などそれぞれに成分規格があり、脱脂肪牛乳や無脂肪牛乳などは成分調整されます。そして、高温で殺菌されます。ちなみに、牛乳を濃縮すると練乳が、牛乳を遠心分離でできたクリームからはアイスクリームやバター等が作られます。

豆乳と牛乳 それぞれに数種類のタイプ

スーパーの冷蔵庫コーナーには、紙パックに充填された飲料コーナーがあります。そこで売り場面積の面積を大きく占めているのが、豆乳と牛乳。豆乳と一言で言っても、「無調整」「調整」等とパッケージには書かれていますし、牛乳には脂肪分が少ないタイプも。ここでは、豆乳と牛乳にある種類について解説していきます。

豆乳は3種類

豆乳は、3種類のタイプがあります。

  • 豆乳(無調整)…大豆からタンパク質その他の成分を溶出させ繊維質を除いた飲料。大豆固形分8%以上。
  • 調整豆乳…大豆豆乳液に植物油脂及び砂糖類、食塩などを加えた飲料で、大豆固形分6%以上。甘さがあり、飲みやすい。
  • 豆乳飲料…果汁入り豆乳飲料:大豆固形分2%以上。その他の豆乳飲料:大豆固形分4%以上。フルーツ味、ココア味、抹茶味などもあり、飲みやすい。

牛乳は4種類

牛乳は、主に4種類のタイプがあり、成分に違いがあります。

  • 牛乳…生乳を殺菌したもの。水などを加えず、成分の調整を行っていない。
  • 成分調整牛乳…生乳から乳成分の一部(乳脂肪分、水、ミネラルなど)を除き、殺菌したもの。
  • 脱脂肪牛乳…生乳から乳脂肪分の一部を除き、殺菌したもの。乳脂肪分は0.5~1.5%。
  • 無脂肪牛乳…生乳から乳脂肪分のほとんどを除いて殺菌したもの。乳脂肪分は0.5%未満。

ダイエットにオススメなのは豆乳?牛乳?

「豆乳と牛乳はどちらがエネルギー(kcal)は低いのかしら?」「甘さのある調整豆乳や豆乳飲料は、牛乳と比べるとどうなのかな?」
エネルギー(kcal)の高そうな甘い菓子類は表示を見ることが多くても、水分の多い飲料は表示を見ることが少ない人もおられるかもしれませんね。
ここでは、豆乳と牛乳のエネルギーや脂質量等について解説します。

豆乳と牛乳の栄養素

豆乳、調整豆乳、豆乳飲料、そして普通牛乳、低脂肪乳の栄養比較をすると下記のようになります。

栄養比較表(100g当たり)
豆乳
(無調整)
調整豆乳 豆乳飲料
(麦芽コーヒー)
普通牛乳 低脂肪乳
エネルギー 44kcal 63kacl 59kacl 61kcal 42kcal
タンパク質 3.6g 3.2g 2.2g 3.3g 3.8g
脂質 2.0g 3.6g 2.2g 3.8g 1.0g
糖質 2.9g 4.5g 7.7g 4.8g 5.5g

オススメの豆乳・牛乳

豆乳の中では、ダイエットにオススメなのは無調整の豆乳です。調整豆乳・豆乳飲料は糖類が加えられているので糖質やエネルギーが高めになっています。

牛乳では、低脂肪乳がオススメです。普通牛乳に比べて脂質を約1/4、エネルギーを約2/3に抑えることができます。また、普通牛乳を無調整の豆乳に置き換えると、エネルギーは2/3程度に抑えることができます。

豆乳と牛乳、アミノ酸バランスが良いのはどちら?

豆乳は大豆、牛乳は生乳が原料なので、どちらもタンパク質が豊富な食品ですよね。100g当たりのタンパク質量は、豆乳(無調整)では3.6g、普通牛乳では3.3gですので、豆乳(無調整)の方が普通牛乳よりもタンパク質を多く含みます。そして、「量」だけではなく「質」も気になるところですね。ここでは、豆乳と牛乳のタンパク質の「質」を表すアミノ酸価(アミノ酸スコア)について解説していきます。

豆乳も牛乳もアミノ酸価は100

豆乳、調整豆乳、豆乳飲料、そして普通牛乳、低脂肪乳のアミノ酸価を比較すると下記のようになります。種類にかかわらず、豆乳も牛乳も同等にアミノ酸バランスに優れています。

アミノ酸価(タンパク質1g当たり)
豆乳
(無調整)
調整豆乳 豆乳飲料
(麦芽コーヒー)
普通牛乳 低脂肪乳
アミノ酸価 100 100 100 100 100

アミノ酸価の話

豆乳も牛乳もアミノ酸のバランスが良い食品です。豆乳と牛乳の大きな違いは、豆乳は植物性食品、牛乳は動物性食品であることです。
アミノ酸価は、乳類、魚類、肉類、卵などの動物性食品で良好で、ほとんどが100です。一方、植物性食品は穀物のほとんどはリジンが評定パターンを満たしていないのでアミノ酸価が低くなっています。

しかし、豆乳はリジンも評定パターンを満たしており、アミノ酸価は100です。豆乳は動物性食品のように、良質のアミノ酸スコアをもつ食品であることがわかります。

不足しがちなカルシウムが多いのはどちら?鉄分は?

豆乳と牛乳に含まれるミネラルについては、どちらが多いのでしょうか?数多くあるミネラルの中でも、カルシウムと鉄は骨や歯の健康や貧血予防などに関わる大切な栄養素です。豆乳と牛乳に含まれるカルシウムと鉄について含有量を比較してみます。また、カルシウムと鉄は体内への吸収率も高くないのですが、吸収率をアップさせるポイントもお伝えします。

豆乳・牛乳のカルシウム・鉄の含有量

豆乳、調整豆乳、豆乳飲料、そして普通牛乳、低脂肪乳のカルシウムと鉄の含有量を比較すると下記のようになります。

  • カルシウム…カルシウムをたくさんとりたいなら、牛乳のほうが優れています。牛乳は豆乳の3倍以上のカルシウムを含んでいます。また、低脂肪乳のほうが、普通牛乳よりもカルシウムを多く含みます。
  • 鉄…鉄をたくさんとりたいなら、豆乳の方が優れています。豆乳飲料よりも、豆乳(無調整)や調整豆乳の方が4倍の鉄を含みます。
栄養比較表(100g当たり)
豆乳
(無調整)
調整豆乳 豆乳飲料
(麦芽コーヒー)
普通牛乳 低脂肪乳
カルシウム 15mg 31mg 20mg 110mg 130mg
1.2mg 1.2mg 0.3mg 0.02mg 0.1mg

カルシウム吸収に役立つ栄養素

カルシウムは体内で吸収しにくいミネラルです。牛乳は比較的カルシウムの吸収率が高い食物ですが、それでも40%程度の吸収率です。せっかくカルシウムを摂っても体内で吸収しにくいので、カルシウムの吸収をよくするメニューにするのがオススメです。

一緒に摂るとカルシウムの吸収率がアップするのは、ビタミンDやマグネシウムです。ビタミンDはキノコ類や魚類に、マグネシウムは海藻類やアーモンドなどの種実類に多く含まれています。例えば、鮭のグラタンや、キノコたっぷりのシチューなどはとても良いメニューですね。

鉄分吸収に役立つ栄養素

鉄の吸収率は平均して8%程度です。鉄には種類があり、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は23~55%、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の吸収率は5%程度です。しかし、植物性食品に含まれる非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率を高めることができます。ビタミンCは野菜類やフルーツに多く含まれます。豆乳ヨーグルトにフルーツをたっぷり入れて食べたり、豆乳とオレンジジュースをミックスして飲んでみるといいでしょう

豆乳・牛乳のその他成分の特徴

食品にはエネルギーとなる栄養素やミネラルだけではなく、様々なビタミンや健康成分が含まれています。ここでは、豆乳と牛乳に含まれる栄養素や成分について解説していきます。

牛乳に多い栄養素

カルシウムの多さが特徴的な牛乳ですが、ミネラルではリンも多く、ビタミンA、B1,B2も比較的多く含まれます。また、牛乳に含まれるタンパク質にカゼインがありますが、カゼインはカルシウムの吸収をアップさせると言われています。

豆乳の機能性成分

豆乳は大豆成分をほとんどそのまま含んでおり、大豆タンパク質、イソフラボン、レシチン、サポニンなど多くの機能性成分を含みます。

大豆タンパク質は血中コレステロールや血圧を下げる働きがあります。大豆サポニンは老化の原因となる過酸化脂質を排除し、脂質の代謝を促進します。また、コレステロールを含まないので、脂質異常症の改善が期待できます。

イソフラボンについては他の食材にはほとんど含まない成分なので、大豆を原料として作られた豆乳はイソフラボンを飲み物として摂取しやすい食品ですね。イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きとして注目されていますが、美容効果やコレステロール値改善、更年期の悩みをサポートしてくれる働きが期待できます。

豆乳はコップ何杯まで飲んでもいい?

豆乳の大豆イソフラボン(アグリコンとして)の量は、100g中におよそ25mgです。

栄養比較表(100g当たり)
食品名
(検体数)
含有量
(mg/100g)
平均含有量
(mg/100g)
豆乳(3検体) 7.6~59.4 24.8

出典:厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)の評価書

豆乳をコップで200g飲むと、約50mgの大豆イソフラボンが摂取できることになります。
食品安全委員会では大豆イソフラボンの安全な1日摂取目安量の上限70~75mgと設定していますので、豆乳は1日にコップ1杯(200g)程度にすると良いでしょう。

豆乳は牛乳の代わりに使える?

食生活というのはガラッと変えるのは難しいので、これまでのメニューやレシピに代用して新しい食材を使うのがスムーズに食生活の幅を広げるコツです。ここでは、牛乳を使ったレシピを豆乳に代えた場合の味や注意点などを解説していきます。

味の違いは?

牛乳の原料は生乳、豆乳の原料は大豆ですので、飲むと味に違いを感じますよね。牛乳はコクや甘さを感じる人も多いと思います。一方の豆乳は大豆の香りや後味を感じる人が多いと思います。

豆乳は、無調整豆乳、調整豆乳、そして豆乳飲料がありますが、無調整豆乳は糖類などが加えられていないので、牛乳を使ったレシピでそのまま置き換えがしやすいです。豆乳の量によっては豆乳の風味を感じやすい料理となるでしょう。

一方、調整豆乳は糖類などが加えられているので、牛乳を使ったレシピでそのまま置き換えると甘く仕上がります。お菓子作りなどの場合は、加える砂糖の量を少な目にするのがオススメです。

豆乳は沸騰させると分離する

豆乳を料理に使う時に気を付けたいことがあります。それは、豆乳を沸騰させると豆乳のタンパク質が分離しまうこと。牛乳の代わりに豆乳でシチューやクリーム煮などを作る際には、強火にしすぎずに弱火で少しずつ温めるのがコツです。

シーンにより使い分けるのもオススメ

豆乳は加熱で分離してしまうので、使用シーンに応じて豆乳と牛乳を使い分けるのもコツのひとつです。例えば、そのまま飲むとき、フルーツジュースに混ぜて飲むとき、オートミールにかけるときなどは豆乳を。そして、クリームシチューなど加熱する料理を作るときには牛乳を。

そして、豆乳の種類により、組み合わせる食品も工夫すると良いでしょう。例えば調整豆乳には糖類が添加されているので、調整豆乳をコーンフレークにかける際には、砂糖の添加が少ないコーンフレークを選ぶと、全体の味のバランスが良くなりますね。

まとめ

豆乳と牛乳について、色々な角度から解説してきました。カルシウムでは、すべての食品の中でも圧倒的な含有量を誇るのは牛乳です。成長期のお子さんなどは牛乳を取り入れていくと効率的にカルシウムが摂取できますね。体質的に牛乳が飲めない場合も、小魚やひじき、胡麻、大豆製品などを積極的に摂るとカルシウムが補給できますよ。

また、豆乳は大豆タンパク質、大豆サポニンや大豆イソフラボンを含むので、生活習慣病が気になる人や更年期の女性には積極的にとりいれたい食品です。エネルギー(kcal)も普通牛乳を無調整の豆乳に置き換えると、エネルギーは2/3程度に抑えることができるのでダイエットにもオススメですね。

 
   
この記事をシェア