食生活で摂る大豆イソフラボン量は?大豆食品とサプリの目安を食事内容でチェック○

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大豆製品の味噌

「忙しくて簡単な食事ばかりなので、大豆イソフラボンをサプリメントから摂取してもいいのかな?」「2006年にイソフラボンの摂取量について報道があったよね?どんなんだったっけ?」近年、健康志向の高まりでサプリメントや特定保健用食品を多く見かけるようになりましたね。

この記事では大豆イソフラボンのサプリメントを使う上で気になる上限値のこと、その上限値に設定された背景・理由、そして「私の食事、どれだけイソフラボンを摂れている?」等について、管理栄養士が解説していきます。

執筆者:石原 恵子

資 格:管理栄養士|食品衛生監視員|食品衛生管理者|フードコーディネーター


イソフラボンって摂りすぎてはいけないの?

「イソフラボンは摂りすぎに注意」という話を聞いた方もおられるのではないでしょうか?2006年厚生労働省からの「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取り扱いに関する指針」のことですね。

もしかしたら日常の食生活の大豆摂取も控えたほうがいいのかと勘違いしてしまった方もおられたと思います。
ここでは、錠剤やカプセルなどで大豆イソフラボンを摂る場合の摂取目安量や気を付ける点を解説していきます。

大豆、大豆食品はこの指針の対象ではない

「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取り扱いに関する指針」とは、どのようなものでしょうか?これは、通常の食生活に特定保健用食品(トクホ)として上乗せする場合の安全性についての指針です。

厚生労働省の大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aにも「日本人は、納豆、煮豆、みそなどの伝統的な大豆食品について、日常の食生活における長い経験があり、これらを食べることによる大豆イソフラボンの健康への有害な影響が提起されたことはなく、心配する必要がない」とあります。なので、通常の食生活で食べている大豆製品については心配しなくてよいと考えられています。

特定保健用食品とは

特定保健用食品は、「トクホ」と略される保健機能成分を含んでいる食品のことです。消費者庁長官の許可を得て、特定の保険の用途に適する旨を表示できます。

大豆イソフラボンを関与成分とするトクホは、9品目が許可されています。(特定保健用食品許可(承認)品目一覧(令和3年12月22日更新)にて、関与成分として“大豆イソフラボン”で検索)。茶系の飲料や清涼飲料水、タブレットなどがあります。

イソフラボンを濃縮・強化した食品もこの上限値を参考に

大豆イソフラボンの摂取目安量として上限に気を付ける必要があるのは、下記の2つです。

  • 大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品
  • 特定保健用食品でなくても、錠剤やカプセル剤、粉末剤、液剤等のうち大豆イソフラボンを濃縮・強化した大豆イソフラボンを含む「いわゆる健康食品」

つまり、単に大豆素材を原料として使っている「おからクッキー」等は対象にならないですが、大豆イソフラボンを濃縮・強化して配合されているサプリメントは摂取の上限に気を付ける必要があるということですね。

大豆イソフラボンを濃縮・強化した食品は、まだ食経験が短いです。大豆イソフラボンとそれ以外の成分(タンパク質、カルシウム等)とのバランスが、長い食経験を有する納豆や煮豆などとは異なるので、このように考えられているのです。

食事から70~75mgまで、サプリメントとしての上乗せ30mgまでに

大豆イソフラボンの上限値はどのようになっているのでしょうか?食品安全員会では、下記のように値を設定しています。

大豆イソフラボン(アグリコンとして) 1日当たり
安全な摂取目安量上限値 70~75mg
特定保健用食品としての安全な上乗せ摂取量の上限値 30mg

大豆イソフラボンの安全な摂取目安量の上限値は1日70~75mg

まず1つ目は、食経験に基づく設定です。平成14年の国民栄養調査から、大豆食品からの大豆イソフラボン摂取量の95パーセンタイル値が70mg/日であったこと。これを安全な摂取目安量の上限値と考えられました。

そして、2つ目はイタリアで行われた試験。大豆イソフラボン錠剤を1日150mg、5年間摂取されました。この試験の子宮内膜症発症の統計的有意差の検討結果から、150mgを健康被害の発現が懸念される影響値としました。

摂取対象者の個人差や閉経後女性のみの試験であったことから、この半分量の75mgを摂取目安の上限とされました。

この2つの検討から、70~75mgという数字が設定されたわけですね。

特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な上乗せ摂取量の上限値は1日30mg

まず、日常の食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取した試験を複数検討。これらの試験の血液指標と月経周期の結果から、1日に57.3mgの上乗せを最低影響量と考察されました。そして、それぞれの試験設定の差と個人差などを考慮し、1日30mgと設定されました。

上限を超えて摂取しないために気を付けること

大豆イソフラボンサプリメントを購入する前に、パッケージの表示を確認することが大切です。

商品により設計・配合量は異なるので、1日30mgを超えないように飲む粒数を確認しましょう。もし含有量の表示がない場合は、事前にメーカーのお客様相談室に確認するとよいでしょう。

大豆イソフラボンサプリメントを推奨していない人とは

推奨しない

「大豆サプリメントを摂ってもいいですか?」という質問の答えとしては、摂取することを推奨していない対象者がいるので注意が必要です。1つは年齢、もう1つは妊娠中・授乳中です。詳しく見てみましょう。

乳幼児及び小児(15歳未満)、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)

特定保健用食品として日常の食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取することは推奨しない対象者は乳幼児及び小児(15歳未満)、そして妊娠中(妊娠の可能性のある方を含む)・授乳中です。

また、「内閣府 食品安全委員会 大豆イソフラボンにおけるQ&A」にはその理由が明記されています。

妊婦中(妊娠の可能性のある方)

十分なヒトでのデータがないことから、動物試験の結果を考慮して健康への影響を推察されています。

妊婦については胎児の生殖機能への影響などを示唆する報告があること、妊婦(妊娠の可能性のある方を含む)が大豆イソフラボンを追加摂取しても有益性を見いだせないと考えられたことから、特定保健尿食品として大豆サプリメントを摂取することは推奨しないとされています。

胎児については自らその摂取をコントロールできないため、妊婦(妊娠の可能性がある方)を対象とされています。

乳幼児及び小児(15歳未満)

こちらも、十分なヒトでのデータがないことから、動物試験の結果を考慮して健康への影響を推察されています。結果、生殖機能への影響を示唆する報告があったこと、生殖機能が未発達なことを考慮し、安全性が明確でない限り、大豆サプリメントを摂取することは推奨できないと考えられています。

私の食事でイソフラボンは摂れている?

インスタント麺を食べる

大豆イソフラボンは、高脂血症、高血圧、動脈硬化を抑制し、脳卒中や心筋梗塞やがんの予防に役立つことが明らかになってきました。

「大豆製品を摂りたいけど、多忙でいつも簡単な食事しかできないなぁ。サプリメントで大豆イソフラボンを摂ってもいいかしら?」と、考える方もおられるかもしれませんね。

あるいは、大豆製品を摂り入れていても「いったい私、大豆イソフラボンをどれぐらい摂れているのかしら?」と、摂取量までは把握しづらいですよね。ここでは、AさんとBさんの1日の食事からイソフラボンの摂取量を見てみたいと思います。

Aさんのある日の食事例

献立 大豆イソフラボン
朝食 精白米ごはん+焼き鮭+納豆(30g)+ほうれん草のおひたし 22mg
昼食 精白米ごはん+麻婆豆腐(豆腐100g使用)+野菜サラダ 20mg
夕食 精白米ごはん+からあげ+野菜の付け合わせ+油揚げの味噌汁+煮豆(20g) 27mg
合計69mg

Bさんのある日の食事例

献立 大豆イソフラボン
朝食 コーンフレーク+豆乳(100g) 12mg
昼食 ミートソースパスタ 0mg
夕食 精白米ごはん+豚キムチ+野菜サラダ 0mg
合計12mg

AさんとBさんの食事を比べてみると、3食の食事に大豆製品を摂り入れているAさんの大豆イソフラボン摂取量は69mg。一方、簡単な食事のBさんは12mgでした。

Aさんのような食事例ですと、大豆イソフラボンの安全な摂取目安量上限値の1日70~75mgに近い食事ですね。そしてBさんは、忙しくても、朝食のコーンフレークを牛乳ではなく豆乳を使う工夫が良いですね。

Bさんがもう少し大豆イソフラボンを食事から摂るには、夕食に冷ややっこなどを加えてみると良いでしょう。加熱せずに切るだけなので手間も少ないですし、50gの冷ややっこで大豆イソフラボンが10mg摂取できます。

なるべく食事から大豆イソフラボンを摂る工夫ができたらいいですが、サプリメントから摂っても大丈夫です。ただし、サプリメントからの大豆イソフラボンは1日30mgを超えないようにすること、妊娠中・授乳中は控えるように注意しましょう。

自分でも食事の大豆イソフラボン摂取量を計算してみたい

「どれぐらい大豆イソフラボンが摂れているのか、自分の食事を計算してみたいな」と思われた方は、下記の表を参考にされると良いでしょう。

厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)の評価書には、食品100g中の大豆イソフラボン(アグリコンとして)の量が示されています。

食品名(検体数) 含有量(mg/100g) 平均含有量(mg/100g)
大豆(11検体) 88.3~207.7 140.4
煮大豆(3検体) 69.0~74.7 72.1
揚げ大豆(1検体) 200.7 200.7
黄粉(4検体) 211.1~321.4 266.2
豆腐(4検体) 17.1~24.3 20.3
凍り豆腐(1検体) 88.5 88.5
おから(1検体) 10.5 10.5
金山寺みそ(1検体) 12.8 12.8
油揚げ類(3検体) 28.8~53.4 39.2
納豆(2検体) 65.6~81.3 73.5
味噌(8検体) 12.8~81.4 49.5
醤油(8検体) 1.0~1.7 0.9
豆乳(3検体) 7.6~59.4 24.8

大豆イソフラボンサプリメントについてQ&A

Q&A

なかなか食事の工夫が難しいので、大豆イソフラボンサプリメントを検討してみたい方へのアドバイスです。サプリメントを検討するときに気を付けたほうが良いことの中から2点をQ&A方式で解説しました。

大豆イソフラボンのサプリメントにはどのようなものがありますか?

大豆イソフラボンのサプリメントには、様々な種類が販売されています。
まず、大豆イソフラボンだけが入っているものと、その他素材(美容サポート素材やビタミン・ミネラルやポリフェノール等)も配合されているものがあります。

どちらが良いのかについては、まずはシンプルに大豆イソフラボンだけを摂ってみたい方は大豆イソフラボンだけのサプリメント、美容面の悩みが大きい人はコラーゲンやヒアルロン酸などの化粧品でおなじみの素材を配合しているサプリメントを検討してみても良いでしょう。

そして、重要なのが大豆イソフラボンの配合量。上限値である30mgギリギリまで配合されているものもあれば、パッケージやホームページを見ても配合量の記載のないものもあります。配合量の分からないものは、事前に問い合わせしてみるといいですね。

普段から他のサプリメントを飲んでいます。大豆イソフラボンサプリと併用してもいいですか?

ポイントとしては、サプリメントとして摂取する大豆イソフラボンの合計量が1日30mgを超えないようにすることです。現在飲んでいるサプリメントに大豆イソフラボンが配合されているかをチェックし、これから購入しようとしているサプリメントの大豆イソフラボン配合量との合計値を出してみましょう。

まとめ

大豆イソフラボンのサプリメントを使う上で気になる上限値とその背景・理由を解説してきました。そして「私の食事、どれだけイソフラボンを摂れている?」では、AさんとBさんの食事例を分析してみました。Aさんのような食事ができれば理想ですが、もし食事の食事が難しい場合はサプリメントを利用するのも1つの案です。ただし、サプリメントからの大豆イソフラボンは1日30mgを超えないように気を付けましょう。

1日3食の食事ではなく、おやつタイムで大豆イソフラボンを摂ることも可能です。例えば、わらび餅にきな粉を大さじ1杯かけると、16mgの大豆イソフラボンを摂ることができます。
食事の工夫、サプリメント、おやつの工夫で、上手に大豆イソフラボンを摂り入れてみましょう。

 
   
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