何歳から意識して大豆を摂るべき?サプリメントでも大丈夫?女性とイソフラボンの関係について解説!!

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大豆の重要性

「イソフラボンって、何歳から積極的に摂るといいのかな?」そんな疑問にお答えします。ホルモンの影響を大きく受ける女性。そして、近年では「人生100年時代」という言葉を聞きますよね。

この記事では、「年代」「女性ホルモン」をキーワードとしながら、健康で長生きするためにイソフラボンや食事について管理栄養士が解説していきます。

執筆者:石原 恵子

資 格:管理栄養士|食品衛生監視員|食品衛生管理者|フードコーディネーター

人生100年時代=閉経後に50年生きる時代!

「51年連続 日本の100歳以上の人口が過去最多を更新」。昨年2021年9月14日の厚生労働省からの発表を覚えている方もおられるでしょう。100歳以上の高齢者は8万6510人で、そのうち女性が88%(7万6450人)を占めています。

自分が何歳まで生きるのかはわからないのですが、100歳以上生きることも珍しくはない時代が来ています。長い人生を幸せに生きるために、働き方、お金の貯め方が見直されています。

そして、そのベースになるのが「健康」ですよね。ここでは女性のライフステージと女性の守り神であるホルモンについて解説していきます。

40年間を女性ホルモンがほぼない状態で生きている現代女性

明治24-31年の女性の平均寿命は44.3歳。昭和22年には53.96歳。閉経年齢は50歳前後なので、昔の女性は閉経とほぼ同時に人生を終えていました。

ところが、戦後どんどん寿命が延び、令和2年では87.74歳に。つまり、閉経後40年は女性ホルモンがほとんどない状態で生きていることになります。

これからは人生100年時代と言われていますが、女性特有の病気は増えています。なので、健康サポートをしてくれていた女性ホルモンがほとんどない状態でも残り50年を元気に生きるために、女性ホルモンのことや食生活のことを今のうちから知っていきたいですね。

20代~30代前半が女性ホルモン分泌のピーク

女性ホルモンのうち、主役はエストロゲン。エストロゲンの分泌量は、女性のライフステージに沿って変化しています。初潮の平均年齢は12.5歳。その前後からエストロゲンの分泌量は急上昇していきます。

そして分泌のピークは20代後半。その後も高い値を保っていますが30歳後半から少しずつ減っていきます。そして、40代半ばを過ぎると急激に減っていき、その急降下の最中に、閉経の平均年齢である50.5歳が位置しています。

45歳過ぎから分泌が急減少し、心と身体の不調が…なぜ?

閉経の前後5年間が更年期と呼ばれており、平均年齢50.5歳であることを考えると、およそ45歳から55歳に更年期を向かえる人が大半ということになるでしょう。そして、高齢期・老齢期には女性ホルモンはほぼゼロになります。

なぜエストロゲンは減っていくのでしょうか?それは「卵胞の減少」と関係があるからです。女の子の赤ちゃんは生まれたときに200万個の卵胞を持っていますが、初潮を迎えるころにはもう約30万個に減っています。

月に約1,000個減り続け、30代後半になると急速に減少します。閉経を迎える50歳前後では卵巣を見ても卵胞を見つけることは難しいと言われています。

エストロゲンは卵胞から分泌されるので、卵胞の減少と共にエストロゲン分泌量も減っていくわけです。そして様々な不調を感じるようになります。

イソフラボンは何歳から積極的に摂る?

閉経を迎えてから「あの心の不調は更年期だったからなの?」と気づく人もとても多いです。いつ自分が閉経を迎えるのかわからないので、その更年期である5年前を意識するのは難しいですよね。

果たして、自分の閉経年齢は予測可能なのでしょうか?また、イソフラボンをいつから意識して積極的に摂るようにすると良いのでしょうか?

更年期症状の程度を知れる問診票

更年期かな?」と感じたら、更年期症状を採点してみるのもよいでしょう。

簡単にできるものとして、小山嵩夫先生が作られた簡略更年期指数(SMI)チェックシートがあります。10項目をチェックし、合計点を出す方法です。

簡略更年期指数(SMI)

  • 強:毎日のように出現
  • 中:毎週みられる
  • 弱:症状として強くはないがある
症状 症状の程度
1 顔がほてる 10 6 3 0
2 汗をかきやすい 10 6 3 0
3 腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
4 息切れ・動悸がする 12 8 4 0
5 寝つきが悪い・眠りが浅い 14 9 5 0
6 怒りやすく・イライラする 12 8 4 0
7 くよくよしたり・憂うつになる 7 5 3 0
8 頭痛・めまい・吐き気 7 5 3 0
9 疲れやすい 7 4 2 0
10 肩こり・腰板・手足の痛みがある 7 5 3 0

自己採点評価は下記の通りです。

合計点数
0〜25 異常なし
26〜50 食事、運動に注意
51〜65 更年期・閉経外来を受診
66〜80 長期間の計画的な治療が必要
81〜100 各科の精密検査、長期の計画的な対応

小山嵩夫先生は、東京医科歯科大学で診療されていた1990年頃から、数百例のデータをもとにして簡略更年期指数(Simplified Menopausal Index: SMI)を開発された先生です。(小山嵩夫クリニック 院長/NPO法人更年期と加齢のヘルスケア 理事長)

  • 点数がエストロゲンの数値を反映している。
  • 外来で簡単にチェック出来る。
  • 点数の変化と症状の変化に相関がある。

この3点を重視されてチェックシートを開発されたそうです。

参考:簡略更年期指数(SMI)はこうして生まれた

予測できる閉経年齢

閉経年齢は予測することができるとされています。2つのホルモンが指標となります。

1つ目は卵胞刺激ホルモン(FSH)。脳が卵巣へ「女性ホルモンを分泌せよ!」と指令を出しますが、この数値が高いと閉経が近いと考えられています。

もう1つはエストロゲン(E2)。この数値が低いほど閉経が近いとされています。女性ホルモンが分泌されていないことを示しているからですね。

この2つから「更年期バランス」が判定されます。ただし、ホルモン値は常に変化していることや採決の時期によって値も変わることから、医師によっては「あくまで参考に」とする先生もおられます。

基準値 更年期では
エストロゲン(女性ホルモン、E2) 10~1000pg/ml 30pg/ml以下
卵胞刺激ホルモン(FSH) 3~20mlU/ml 35mlU以上

AMH(アンチミューラリアンホルモン)

おおよその卵巣年齢が分かる検査とされています。卵巣に残された卵子の数を調べる検査であり、このホルモンの数値が目安になります。

基礎体温をつける

病院に行かなくても自分で測ることができるのが基礎体温です。閉経が近づくと、高温期がなくなっていくのがわかります。

エストロゲンの多様な働き

若い女性が髪の毛ツヤツヤ・肌ピチピチ・メリハリのあるボディラインでいられるのは、エストロゲンのおかげです。そして、妊娠・出産に関わる重要なホルモンです。

骨や血管の健康を保ち、メタボを予防や悪玉コレステロールを減少、動脈硬化の予防にも働きが期待できます。

イソフラボンを摂り入れるポイント(ライフスタイル別)

大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをします。急に食生活を変えるのは難しいので、若い頃から大豆製品を食卓で摂る習慣をつけておくと良いですね。

大学生

学生食堂では、定食に大豆製品の小鉢をプラス。冷ややっこや納豆をプラスする習慣が好ましいでしょう。

学生や社会人の1人暮らし

時間をかけてたくさんの具を入れた煮豆を炊くことはなかなかできないかもしれません。そのようなときはスーパーでパウチになっている煮豆を買って常備しておくと、いつでも食べることができますね。

出産後、子どもが小さいとき

子ども中心の生活を送ることになり自分の身の回りや食事のことは後回しになってしまうことも多いですね。離乳食では9ヶ月ごろから赤ちゃんも薄いお味噌汁を飲み始めるので、大人用味噌汁を作ってからとりわけで薄めて赤ちゃん用味噌汁を作ると便利です。すると、「どんなに忙しくても、自分もお味噌汁を1日1杯飲む」が無理なくできますね。

40代からは特にイソフラボンを意識

急激に女性ホルモンの分泌が減る時期からは、女性ホルモンのような働きが期待できるイソフラボンを意識したいものですね。

若いころから意識して大豆製品を食べていなかった人は、まず、35歳ぐらいで「私、イソフラボンを摂れているかな?」と食生活をチェックしてみると良いでしょう。

30代後半から少しずつですがエストロゲンの分泌量も減っていくので、1つのタイミングですね。そして、40代ではエストロゲンが急激に減るので、40代からはイソフラボンを積極的に摂ることを意識すると良いでしょう。

代謝も落ちてきて太りやすくなるので、和食中心の食生活にすることで大豆製品が自然と取り入れやすくなり、エネルギー(kcal)の摂り過ぎも防ぐことにつなげることができますね。

イソフラボンサプリメントは何歳からOK?

「子どもがカレーやハンバーグが大好きで、なかなか煮豆や豆腐を食べさせてないな…」とお悩みの方もおられますよね。洋食にメニューが偏ると、豆類が摂りにくくなりますよね。

「じゃあ、サプリメントなら手軽で便利じゃない?中学生なら飲んでもいいのかしら?」と考える方もおられるかもしれません。しかし、実は大豆イソフラボンのサプリメントについては年齢の注意があるのです。

大豆イソフラボンサプリメントは15歳以上から

特定保健用食品として日常の食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取することを推奨しない対象者は乳幼児及び小児(15歳未満)、そして妊娠中(妊娠の可能性のある方を含む)・授乳中です。

つまり、まだ15歳になっていないお子様には大豆イソフラボンのサプリメントは推奨されていないのです。

動物を用いた高濃度の大豆イソフラボン投与試験で、生殖機能への影響などを示唆する報告があったためです。

イソフラボンだけを濃縮・強化したものはまだ食経験が長くないこと、通常の大豆製品(煮豆や豆腐など)と比べて大豆イソフラボンと他の成分(タンパク質、カルシウム等)とのバランスが異なるからです。

15歳未満のお子様には、サプリメントではなく、通常の食事の中で大豆製品を摂り入れていきましょう。

洋食好きなお子様ならば、豆腐とたらこのチーズグラタン、豆腐のピカタ、豆腐のシーザーサラダなどはいかがでしょうか?

イソフラボンはアグリコン型がおすすめ

イソフラボンには、グリコシド型(糖がついている)とアグリコン型(糖がついていない)があります。15歳以上になり大豆イソフラボンサプリメントを摂取する際には、オススメはアグリコン型イソフラボンのほうです。糖がついていない分、消化されやすいです。

ちなみに、アグリコン型イソフラボンを含む食材は味噌や醤油などの発酵食品です。

エクオールを作ってくれるのは腸内細菌

40代から大豆イソフラボンを食事の中で積極的に摂るようにしていきたいのですが、実はイソフラボンを摂ってもすべての人が女性ホルモンの働きのような恩恵を受けられるわけではないことがわかってきました。これには、「腸内細菌」「エクオール」が関係しているからです。

ここでは、エクオールを作れる人、作れない人の割合や、エクオールを作るために大切な食事とはどのようなものかを解説していきます。

エクオールにならないと女性ホルモンのような働きができない

大豆に含まれるイソフラボンは、主にダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインの3つがあります。このうちダイゼインから腸内細菌がエクオールを作るのです。

エクオールは腸管から吸収され、臓器で女性ホルモンのような働きをします。しかし、72時間後にはそのほとんどが体内から消えてしまうので、エクオールを体内に蓄積することは難しいと考えられています。

腸内を整えることは、エクオールを作りやすくなるだけではなく、肌の美容や便秘解消にも役立つので、腸内環境を整える食事をすることは大切ですね。

海藻、キノコ、野菜など、食物繊維の多い食材を食生活で意識すると良いでしょう。腸内環境を整える食事は何歳であっても大切ですね。

エクオールを作れるのは2人に1人

エクオールを作ることのできる割合は、世界中でも研究されています。欧米やオーストラリアでは約30%、日本で約50%と言われています。

その他、エクオールを作ることのできる人が多い国は中国、台湾などですので、大豆製品をよく食べる習慣がある国がエクオールを作ることのできる人の割合が高いですね。

このことから、大豆の摂取量の違いが理由の1つではと考えられています。つまり、わかめや野菜を具にした味噌汁などは、食物繊維も大豆製品も摂れておすすめのメニューですね。

尚、自分がエクオールを作ることができるのかどうかは、尿検査などでわかるようになってきました。

まとめ

女性ホルモンは40代から50代にかけて急激に減少していきます。急カーブで減っていくので、40代から積極的に大豆製品でイソフラボンを摂取し、女性ホルモンの働きを補っていくと良いでしょう。

「更年期かな?」と思ったらチェックシートで自分の状態を把握し、つらくなる前にレディースクリニックで相談すると良いですね。

そして、エクロールを作りやすくするためにも、大豆製品の摂取に加えて腸内環境を整えることも大切です。

腸内環境はエクオール産生以外にも美容や免疫などたくさんの機能を持つので、40代を迎える前であっても整えていくと良いですね。

  • 参考:「閉経」のホントが分かる本|「大豆の栄養と機能性」 第2章 大豆の各種成分の機能性 4.エクオール

 
   
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