乳酸菌とビフィズス菌の違いって何?おすすめの摂り方ってどんな摂り方?
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乳酸菌とビフィズス菌、両方ともよく聞く善玉菌ですよね。両方ともヨーグルトには入っているしサプリとしても手に入ります。また、プロバイオティクスと呼ばれる菌も大体この2つの細菌を指すことが多いです。
例えば医療用のプロバイオティクスとしてVSL#3というものがあるのですが、8つのプロバイオティクスが入っていて、そのうち3つがビフィズス菌で4つが乳酸菌です。
この2つにはいったいどんな違いがあり、どういった使い分けが必要なのでしょうか?今回は少し生物学的なことも混ぜて、この2つの細菌の違いについて話していきたいと思います。
執筆者:海野 竜也
資 格:工学博士
ビフィズス菌と乳酸菌について
両菌とも私たちの腸の中で多糖(食物繊維)を分解して乳酸を作り出す細菌です。
乳酸菌のほうがビフィズス菌よりも乳酸を多く作りますが、ビフィズス菌は酢酸も同時に作り出します。作り出す乳酸の量が多いからといって必ずしも乳酸菌の方が体に良いというわけではありません。
乳酸菌もビフィズス菌も口の中、大腸、女性であれば膣に生息しています。しかし、乳酸菌とビフィズス菌は腸の内部では微妙に住んでいる場所が違います。
ビフィズス菌の場合、腸の粘液、すなわち腸管の表面に住み着き、乳酸菌は腸管の内側にいます。ビフィズス菌は嫌気性なため酸素が苦手なのですが、乳酸菌は酸素があっても平気ですので発酵食品などで使われています。
ビフィズス菌が発酵食品に使われることはありません。腸の中には酸素がないので関係ないので、両方の細菌とも腸の中では食物繊維を分解して乳酸を作り出すので同じ系統の善玉菌として認識されています。
ではこの2つの細菌は何が違いどのように摂取ほうを調節するべきなのでしょうか。
2つの菌の生物学的な違いとは
ビフィズス菌も乳酸菌もグラム陽性菌ですが、生物学的には全く違う菌でして、ビフィズス菌とは一般的にアクチノバクテリア門のビフィドバクテリウム属を指し、乳酸菌は色々ありますが主にフィルミクテス門のラクトバチルス属を指します。
顕微鏡で見た形ではビフィズス菌は放線菌とよばれる系統でして菌糸を形成して細長く成長、乳酸菌は桿状、つまり短いパイプのような形をしています。遺伝子レベルでも全く違うものであります。
ビフィズス菌は嫌気性、つまり酸素がない状態でしか活動しなく、乳酸菌は酸素があっても無くても活動します。
この2つに菌は健康における効果がにているため似た菌だと思われがちですが遺伝子レベルでは全く異なる細菌であり「乳酸を発生する」という点を除いてはそれほど共通点がありません。
ビフィズス菌の効果
ビフィズス菌は腸内、膣、口内などにいまして、ウンチの中には多くて25%までいることもあります。また、母乳の中に多く含まれていまして赤ちゃんのウンチにはビフィズス菌が沢山います。
ビフィズス菌は腸の粘液を分解する能力があり、腸内というより腸の上皮細胞の表面の粘液に住み着くことが多いです。
この粘液に住み着くということは私たちの細胞と隣り合わせでいるということでしてビフィズス菌が作り出す酢酸はダイレクトに私たちの細胞に供給されるという利点があります。また、粘液内で乳酸を発生することで他の菌もその乳酸を食べに腸の上皮細胞の近くにやってきます。
乳酸を食べる菌の中には短鎖脂肪酸を産出する菌もいまして、この短鎖脂肪酸、特に酪酸が私たちの体に良いことが分かっています。
ビフィズス菌はこういった短鎖脂肪酸を作る菌を上皮細胞の周辺に引き寄せる役割を担っています。また、ビフィズス菌の中には腸内でロタウィルスに対する抗体を増やす効果もあるという報告もあります。
乳酸菌の効果
乳酸菌もビフィズス菌同様に乳酸を発生して腸内の短鎖脂肪酸の量に貢献します。しかし粘液を分解する能力はなく腸細胞と直接コンタクトをとることはありません。
乳酸菌は酸素に触れていても活動をするため、発酵食品、特にヨーグルトを作る際に使われています。
乳酸菌の中には植物性のものと動物性のものがあり、乳製品だけでなく野菜の発酵食品(キムチとか漬物)にも多く含まれています。キムチから分離された乳酸菌が免疫の向上や便秘の解消をするなども報告されています。
一般に植物性の乳酸菌の方が腸内で食物繊維を分解し乳酸を発生する能力が優れているため植物由来の乳酸菌が体に良いと思われています。
乳酸菌の中にはバクテリオシンという物質を作り他の菌、例えばサルモネラとか大腸菌を抑制することで知られています。
乳酸菌とビフィズス菌、2つの菌の生物学的な相違点はありますが結局のところ多糖を分解して乳酸を発生することです。腸内で作られる乳酸は短鎖脂肪酸を発生する菌の餌となります。
ビフィズス菌は腸の上皮細胞付近での短鎖脂肪酸を発生するのに有効で乳酸菌は乳酸の量が多いことや食物繊維を分解する能力にたけているため短鎖脂肪酸の量を増やすのに適しています。
この2つの菌は腸内で住んでいる位置や分解できる多糖が異なるため競合することはありません。すなわち乳酸の発生量や腸内の短鎖脂肪酸の発生に貢献することに関しては相乗効果が期待できます。
実際に動物実験では腸炎を誘発させたマウスにビフィズス菌と乳酸菌を同時に与えたほうがどちらか1つを与えたときよりも免疫向上の効果がより顕著であったことが報告されています。
ビフィズス菌と乳酸菌のおすすめの摂り方
ビフィズス菌も乳酸菌も体に害がないことが科学的に証明されていますが持病のある方で過剰摂取により副作用があったことが報告されています。
乳酸菌もビフィズス菌も殺菌処理された粉末でも効果があることがわかっていますが、乳酸菌の場合生きている乳酸菌の方が効果が高いことが報告されています。
ですので乳酸菌の摂取は発酵食品や「生きた乳酸菌」と表示がしてあるサプリをおすすめします。
酸素に弱いビフィズス菌の摂取は実は摂取することよりも体内にいるビフィズス菌を増やしてあげることの方が効果があります。ビフィズス菌はオリゴ糖を餌としているので大豆、ゴボウ、バナナなどおすすめです。
まとめ
乳酸菌とビフィズス菌、腸の中で乳酸を作るという点では同じですが生物学的には全く違う細菌です。乳酸菌は発酵食品に多く含まれ、ビフィズス菌は母乳に多く含まれますが人為的に食品に添加したものが多いです。
乳酸菌の摂取は発酵食品や生きた乳酸菌サプリ、ビフィズス菌はオリゴ糖の入ったものを沢山食べることで増やせます。この二つの菌は腸内で競合することはなく健康においては相乗効果があるので両方とも摂取することをおすすめします。
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