腸内環境の改善がアレルギーを防ぐ 腸内細菌と免疫細胞

花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息といったアレルギー疾患。その原因は遺伝的な要素が強いとされていますが、それに加えて住宅環境や食生活の変化、大気汚染などにより、その患者数は年々増加しており現代人の2人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われています。最近の研究で、腸内細菌がこれらの疾患に関与していることが分かり注目されています。今回は、腸内環境とアレルギーについて考えてみたいと思います。

免疫とアレルギーとは何だろう?

腸の働きとして思い浮かぶのは食べ物の消化吸収と便の形成ですが、それ以外に腸には全身の60〜70%もの免疫細胞が集まっており、全身の免疫機能に関与しています。免疫細胞は、私たちの体の中にウイルスや病原菌などの異物が入ってきたときにそれを敵だと認識し攻撃します。これを免疫反応と言います。
この免疫反応により私たちの健康は守られています。ところがこの働きが過剰になると、免疫細胞が本来攻撃する必要のない体に有害でないもの(例えば・・・食べ物、花粉、ダニなど)や体の正常な細胞まで攻撃してしまいます。これを「アレルギー」や「自己免疫疾患」と言います。これらの発症に腸内環境の乱れが関係していると考えられています。

 



アレルギーを防ぐ免疫細胞を作り出す腸内細菌

免疫にはいくつかの種類の細胞が関与していますが、その司令塔的な役目を果たしているのがヘルパーT細胞です。この細胞は胸腺で作られ、体内を循環しています。

体外から敵がが侵入するとその外敵の種類に合わせて、ヘルパーT細胞はTh1、Th2、Th17と言う細胞に分化し、効率よく外敵を攻撃し排除しています。ヘルパーT細胞からの分化により作られる細胞の中に「制御性T細胞(Treg細胞)」と呼ばれるものがあります。
Treg細胞は他の免疫細胞が何らかの原因で外敵への過剰な攻撃した場合、あるいは自身の正常な細胞を攻撃してしまった場合にその過剰な免疫反応を抑制する働きがあります。それにより「アレルギー」や「自己免疫疾患」が抑制されます。ヘルパーT細胞から分化する細胞のうちTh17、Treg細胞は腸内細菌により作り出されることが分かって来ました。

私たちの腸内には1000種類、100兆個以上もの腸内細菌が住んでいると言われています。
これら腸内細菌の種類や量など腸内環境によって、どの免疫細胞(Th17、Treg細胞どちらの免疫細胞)を作り出すかが決まります。そのため腸内環境が乱れると免疫細胞産生のバランスが崩れ、「アレルギー」や「自己免疫疾患」を引き起こしやすくなります。

数ある腸内細菌の中でも「クロストリジウム」という種類の細菌がTreg細胞 を作り出すことが分かっています。これらの細菌は食物繊維などを分解して短鎖脂肪酸の酪酸を多く作り出します。この酪酸がTreg細胞の産生に関わっていると考えられます。

 

また「ビフィズス菌」や「ベイヨネラ属」の細菌が食物繊維を分解して作り出す短鎖脂肪酸の酢酸やプロピオン酸もアレルギー体質の改善や気管支喘息の抑制に関与していると言う報告もあります。

腸内環境を整えることがアレルギーを防ぐ鍵になる

腸内環境の乱れにより「クロストリジウム菌」や「ビフィズス菌」などの菌は減少します。そのため腸内環境を整えることが「アレルギー」や「自己免疫疾患」の予防につながります。
腸内環境を整えるには食事内容の見直しが大切です。食物繊維やオリゴ糖は善玉菌のエサになり、それらを分解して生成する短鎖脂肪酸が私たちの体に有益な効果をもたらします。不足することがないよう野菜、穀物、豆類などを中心に食物繊維を意識して摂取しましょう。またビフィズス菌や乳酸菌入りの食品を食事に取り入れ、腸内環境を整えましょう。

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